内容説明
室町関東、統治システムの実像!室町幕府と鎌倉府の深い対立、波瀾万丈な生涯だった鎌倉公方、公方に従わない国人たち、板挟みで悩む関東管領、人事に不満で軍事衝突、切腹、斬首、過酷な戦場。最新の研究成果をもとに、謎多き組織の全貌解明に挑む!
目次
第1部 鎌倉府を支えた人びと(鎌倉公方―“王”として東国に君臨する;古河公方―権威を引き継ぎ、関東の要となる;稲村公方―陸奥に派遣された鎌倉公方の弟 ほか)
第2部 基本となった政策・制度(室町幕府との関係―対立と融和の歴史;管轄国の変遷―“国堺”を形成する;薩〓(た)山体制―過渡期の鎌倉府 ほか)
第3部 鎌倉府を揺るがした合戦・政争(薩〓(た)山合戦―観応の擾乱が最終局面を迎える
武蔵野合戦―南朝方が大規模反乱を起こす
畠山国清の乱―迫る、尊氏派没落のとき ほか)
著者等紹介
杉山一弥[スギヤマカズヤ]
1973年、静岡県生まれ。國學院大學大学院文学研究科日本史学専攻博士課程後期単位取得満期退学。博士(歴史学)。現在、國學院大學文学部兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サケ太
26
非常にわかりやすい。室町時代と言えば、京といった西国だけではなく、東国を支配していた鎌倉府も苦難の連続の中で運営されていた。その流れが面白い。多くの人間がかかわり、絡み合い、争う。戦国時代、下剋上の先駆けとも言っていい長尾景春の関わる、享徳の乱で崩壊するまでが書かれている。~公方も多すぎて分かりづらかったのでありがたい。その後も関東の争乱も図説化しないかなぁ。2020/01/19
鯖
23
政治機構、政策、そして15の戦いから鎌倉府に迫る概説書。それぞれ数ページにまとめられ、イラストや図も多く、なかなか頭にはいってくれない室町時代の東国史を追うのに最適。しかし鎌倉府って、室町幕府と鎌倉幕府のハイブリッドみたいだなあと一読して思った。なんていうか、室町幕府自体も血生臭いんだけど、距離的にも血脈的にも室町幕府から離れていくにつれて、歯止めが効かずに容赦なく戦い続けるよね…。春王丸ちゃんと安王丸ちゃんの木像と骨壺がとってもしんどい。2019/11/17
組織液
14
発売前からから読もうと思ってたんですけど、ここまで伸びてしまいました() 鎌倉府を簡単に俯瞰するには最適な本でしたね。合戦関連はそれなりに知っているだけあって物足りなくも感じましたが、それ以外は本当に勉強になりました。鎌倉府の経済基盤、政策や宗教関連などは結構掘り下げないと普通は触れられてませんからね…こういった簡単な本で扱われているのは有り難いです。関東戦国史というか関東中世史、今度からもっと力入れてやっていきたいですね()2021/05/18
スプリント
13
室町幕府までは完全な中央集権政府ではなかったと言えますね。豊臣政権が長く続いたとしたら江戸に似たような機能ができたかもしれません。2019/12/08
ほうすう
11
室町幕府に関東を統治した「鎌倉府」にスポットを当てた概説書。室町時代の中でも関東は一種の独立王国がごとく関東圏内でどんぱちやっている印象が強く、よく分からない点が多かったので、一冊の本として解説されていることはありがたい。概説書・入門書としては素晴らしかったと思う。2019/07/30