内容説明
強大な軍事力で次々と国衆を従属させ、優れた外交手腕で武田・北条と渡りあった意外な雄姿が最新の研究成果で明らかになる!
目次
第1部 義元以前の今川氏(室町時代の今川氏;今川氏の戦国大名化;「今川仮名目録」の世界;今川文化の歴史的意義―和漢聯句を視座として;花蔵の乱再考)
第2部 領国支配の展開(今川氏の領国支配―検地論を中心に;今川氏家臣団論;流通支配と領国構造;国衆の統制;宗教勢力への政策と統制)
第3部 外交と軍事行動(北条氏との婚姻と同明;武田氏との同盟とその交渉;室町幕府との交渉の展開;松平元康との関係;桶狭間合戦の性格)
著者等紹介
黒田基樹[クロダモトキ]
1965年生まれ。早稲田大学教育学部卒。駒沢大学大学院博士後期課程満期退学。博士(日本史学、駒沢大学)。現在、駿河台大学教授。著書、編著多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BIN
7
今川義元についての最新動向も踏まえた論集。前半は義元以前のこと。義元が寿桂尼の子ではないことや桶狭間のきっかけの尾張侵攻は上洛目的ではなかったことなど通説から変わってきてるみたいですね。2021/05/23
MUNEKAZ
7
今川義元についての論集。執筆陣に惹かれて購入したが、個人的には小川剛生先生の所謂「今川文化」についての論考が興味深かった。小川先生は『武士はなぜ歌を詠むのか』でも今川家の歌壇を論じていたが、「文弱」「意外な一面」で片づけられることの多い戦国大名の文化面を、真正面から検証しており「凄いなー」の一言。また室町幕府との外交を示した木下聡先生の論考も面白く、幕府とは結構ドライな付き合いというか必要があれば利用するという関係なのは意外であった。2019/06/11
wuhujiang
0
今川義元というと桶狭間の最期が衝撃的過ぎて、世間一般では近年の再評価路線でも「最期は負けたけどすごかった人」どまりのようであまり関心が高くない。しかし、研究は着々と深化しているのだなというのが本書を読んだ感想だった。論点も今川家が駿河を任される過程・領国支配・国衆や大名との外交など豊富で読んでて飽きなかった。義元が寿桂尼の実子ではない説などまだまだ議論の余地がありそうだ。個人的には流石に論拠が不足してるな~と思った。2021/06/22