内容説明
なぜ、名将と讃えられるのか。無謀と知りつつも、関ヶ原に散った潔い死にざま。だが、本当に義に殉じたのか?霧につつまれた等身大の姿を描き出す!
目次
第1章 出生と仕官をめぐる謎(母親「東殿」と吉継の生年;吉継の父親は誰か;母東殿の素性を探る)
第2章 秀吉の傍らで(山伏姿の大谷慶松;紀之介白頭の署名;「大谷刑部」となる ほか)
第3章 病との共生、そして関ヶ原(草津湯治と吉継の病;太宰府天満宮に奉納した鶴亀文懸鏡;伏見吉継邸の饗宴は養子大学助のお披露目 ほか)
著者等紹介
外岡慎一郎[トノオカシンイチロウ]
1954年、神奈川県生まれ。中央大学大学院文学研究科(国史学)博士課程修了。敦賀短期大学専任教員を経て、現在、敦賀市立博物館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BIN
13
このシリーズは初めてですが、薄い割にはいいお値段でかつ写真や図がふんだんに使われているものの関連性が薄いものも結構混じってる。それはさておき大谷吉継は通説よりかは若いらしく、真田信繁とも5才ほど年長であまり違わないみたい。一次資料?の兼見卿記に書いてあるのになぜ通説が信じられたままなのだろう。吉継の書状が何点か掲載されているが、どれも相手を思いやったいい人ぶりが表れている。草津温泉で湯治してたのは知らなかった。石田三成との友情や名将ぶりは全くか書かれていない。大谷吉継ファンなので買って損はなかった。2018/11/07
MUNEKAZ
12
人気は抜群だけど、その実態はとなると確かな史料は少ない大谷吉継。物足りない読後感だが、一次史料に基づいて描くとなるとこんなものかも。通説よりも生年が6年下るらしく、石田三成よりも年下。ドラマだと三成を諫める年長者というイメージなので、少し意外な印象。また真偽不明の三成との友情エピソードの代わりに、吉継が遺した書状類を紹介することで、そこに表れる人間的な誠実さを示している。秀吉側近を務めた若年期に使用した「白頭」という署名を、関ヶ原直前に復活させる。真意はわからないが、彼の覚悟のようなものを感じるところ。2024/05/20
金監禾重
6
読後感は、かなり物足りない。このページ数では仕方ないのかと思って見返すと、図・写真が過多過大と言わざるを得ない。朝鮮半島地図は詳しすぎ、本文では1ページの関ヶ原布陣図は2ページ。内容自体はよかった。胡散臭い「友情」「義」エピソードを排除しても、誠実な人柄と若くして万能的な優秀さが残る。18歳の若武者時代と35歳の没年に限って名乗った「白頭」とはなんだったのか。謎が興味深い。関ヶ原の戦いは、新説にも言及するなど、もっと記述してほしかった。2019/02/16
うしうし
6
吉継の母親である「東殿」については青蓮院坊官大谷氏の出自とし、吉継が豊後大友宗麟の家臣大谷氏の出身であるとする説を否定する。本書は主要史料の現代語訳が付くなど、平易な概説書ではある。その反面、史料の少なさのためか、吉継の歴史的な位置づけについての意欲的な記述はなかったように思う。筆者は敦賀在住の研究者であるようだが、吉継と敦賀の関係についてもほとんど触れられていない。また、関ヶ原合戦や真田信繁妻についての近年の研究成果も本書には盛り込まれていない。そういう意味では少し残念。2017/03/05
Toska
4
ボリュームが少ないのは残念だが、大谷吉継について「いま分かっていること」を確実にまとめると、これくらいが却って丁度いいのかもしれない。一代で興り、一代で滅びた家であるが故に史料が少ないというのは納得。ただ、相手への気遣いや自らの体調などに言及する個性的な書状が残っているのが救いか。家康と三成の双方に親しく、それなのに後世どちらの陣営からも悪く言われない不思議な立ち位置。今後の研究の進展に期待したい。2021/09/05
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