内容説明
室町幕府10代将軍。明応の政変で追放されるも、不死鳥のごとく舞い戻る。そして史上唯一、二度も将軍になった隠れた英雄の波瀾万丈な生涯を、新たな視点で解き明かす!
目次
第1部 思いがけなかった将軍の地位(応仁・文明の乱はなぜ起きたのか;義稙はなぜ将軍になりえたのか;義稙はなぜ外征を決断したのか)
第2部 クーデターと苦難の日々(義稙はなぜ将軍位を追われたのか;義稙はいかにして反撃したのか;義稙はなぜ大敗してしまったのか)
第3部 ふたたびの栄光と思わぬ結末(義稙はなぜ将軍位に返り咲けたのか;義稙はいかにして政治を安定させたのか;義稙は賭けに失敗したのか;義稙の人生を振り返って)
著者等紹介
山田康弘[ヤマダヤスヒロ]
1966年、群馬県に生まれる。学習院大学文学部史学科、同大学大学院人文科学研究科博士後期課程修了。博士(史学)。日本学術振興会特別研究員などを経て、現在、学習院大学、国立東京・小山両工業高等専門学校非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジュンジュン
12
室町幕府十代将軍・足利義稙を描く。超マイナーな人だけに同著「足利将軍たちの戦国乱世」か「戦国時代の足利将軍」で予備知識を蓄えておきたい。室町幕府は小さな政府?経済的である反面、自前の軍とそれを支える直轄領を持たない。そんな徒手空拳のもと、失った将軍職に見事返り咲く。”不屈”の形容詞がぴったりな生涯。さらに、あまり知られていない時代だけに、読みやすい文章はとても助かる。2023/10/14
CJ
6
室町第10代将軍の生涯を描いた一冊。いちど廃立されるも将軍への復位に成功したうえ、後に再度その座を追われる波乱万丈さ。いくつか失敗はあれど優秀と言える人物が将軍として全うできなかったのは、筆者の言う通り、軍事力を持たず有力大名頼みの室町幕府の構造が原因だと思った。なお、最初は朝倉を頼むも動かず、後に中国の有力大名のもとにという流れは、足利義昭を彷彿させる面も。中国地方を選ぶのは、瀬戸内海経由なら京まで遠くないというのもありそう。尊氏も九州からだけれど海路だった。なお、自らの刀で危機を脱する義輝要素もあり。2016/06/21
MUNEKAZ
6
はしがきで「義稙の生涯に比べれば信長も秀吉も平穏無事で退屈」と書いてあるのが印象的な評伝。著者は義稙をただの御神輿と見ず、能力も意志もある不屈の人と高く評価している。終章で書かれているように、義稙にしても以後の義輝、義昭にしても自己の能力云々の前に権力基盤となる軍事力と直轄領が欠けているので、危機の際には誰かに担いでもらう必要があるのが足利幕府の最大の問題点だったのだろう。2016/05/30
Minoruno
4
室町幕府第10代将軍:足利義稙の波瀾万丈の人生を描く。室町時代後期の将軍達は傀儡、無力、といった斜陽のイメージで一括りされてしまうが、ことはそう簡単ではなく、権力が弱体化しつつもそれでも尚その影響力が無視できない存在でもあり、本書はそうした将軍自身の野望と諸大名の利害が絡み合いながらジェットコースターのようなめまぐるしい展開が続いていく。今年話題の新書「応仁の乱」を事前に読んでおくとその後日談としてより歴史の流れを感じられると思う。2017/12/17
こまさん
4
なんとドラマチックな生涯を送った将軍なんだろう。 ごちゃごちゃしていて非常にわかりにくい日本史の混乱の時代を生き抜いた将軍足利義植(義材・義伊)の評伝。特にこの時代のわかりにくさは、登場人物の多さとたんぱくさにあるが、本書は最低限の人物と、彼等の思いにまで視野が及んでいる。また、章節を「なぜ」という問題提起で立て、それを追っていくかたちで読み進むことで、リズム感もよく、次々と頁が進み、理解も深まる。まるで小説を読んでいるかのような心地よさ。 「おもしろい!」と一気読みしてしまう好著。2016/06/11
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