内容説明
圧倒的な筆力で怪異の世界を描き続けた直木賞作家の真骨頂!幻の少女向けホラー「双面の舞姫」他4篇を併録!
著者等紹介
橘外男[タチバナソトオ]
1894(明治27)年、石川県生まれ。群馬県立高崎中学を中退。北海道の叔父の下に預けられ鉄道管理局に勤務するが、後に業務上横領罪で服役する。その後は職を転々とし、1919(大正8)年から日本橋で貿易商を営む。22年から翌年にかけて恋愛小説『太陽の沈みゆく時』全3巻を刊行してベストセラーとなる。36(昭和11)年、「文藝春秋」の実話原稿募集に「酒場ルーレット紛擾記」が入選して実話作家として改めてデビューを果たす。38年の「ナリン殿下への回想」で第七回直木賞を受賞。59年没
日下三蔵[クサカサンゾウ]
1968(昭和43)年、神奈川県生まれ。出版社勤務を経てミステリ・SF評論家、フリー編集者。編著に『天城一の密室犯罪学教程』(第五回本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
64
表題作は化け猫を扱った怪談小説。読みたかったのだが古書価が高騰している為、二の足を踏んでいたのでこの復刊は実にありがたい。化け猫小説の基本として主人の仇を討つべく飼い猫が大暴れするというのだが、この猫が喋るわ化けるわの大活躍。復讐譚の快感と適度な荒唐無稽さもあり大満足でした。で「双面の舞姫」、どこかで読んだ事があるかなと思ったら「青白き裸女群像」の焼き直しみたい。あの内容を少女小説に持ってくる胆力も凄いし、内容もとんでもないし。実話調「人を呼ぶ湖」もそのイメージの美しさは忘れがたいし。読んで良かった。2021/09/23
CJ
5
化け猫ものの表題作は、終わり方はあっけなかったけれど、現代パートもいい味を出していて、過去の話もお定まりのパターンながら引き込まれる部分もあった。猟奇ホラーもの「双面の舞姫」は、出だしはかなり好きだったけれど、中盤以降は読ませる場面はありつつも、チグハグさの方が気になってしまった。そこが読みどころではないとはいえトリックにムリがあり、それに対する周囲の反応も不自然。江戸時代に大名がホイホイ大軍を動かして合戦してしまうのもさすがにダメだろうと。いちばん印象的だったのは「人を呼ぶ湖」で、イメージが圧巻だった。2015/11/08
すけきよ
5
表題作の「私は呪われている」はイマイチはまらなかったなぁ。個人的に、橘外男に求めてるのは怪談ではなくて、冒険譚、もしくは現実世界(珍説がベースにあるにしても)の物語。俺が読みたいグロテスクさが、怪談だとかなり薄いんだよね。それに比べて、併録されてる「双面の舞姫」がかなり好みの作品。「人を呼ぶ湖」も始まりこそは怪談だけど、水草の密林とそこに漂う水死体のビジュアルはなかなかのもの。 橘外男の改筆癖を「ムズターグ山」「魔人ウニ・ウスの夜襲」で確認できるのも面白い。馬頭人身の方が不気味でいいと思うんだけどなぁ。 2015/04/16
村山トカレフ
2
購ってからずいぶんと寝かせた本。此度ようやっと読了。「ミステリ珍本大全集【第一期】01~06」の06版である橘外男の珍本といふか稀覯本。表題の「私は呪われている」と「双面の舞姫」に単行本未収録の3作品で編まれたボリューミーな本。すべて昭和20年前半から30年中頃に書かれた作品。禍々しく凄惨で救いがない筆致に、たまさか放り込まれてくる挿絵が湿気に満ち満ちていて素晴らしい。著者自身も韜晦的で魅力あふれる印象。あ、編集は日下三蔵氏。西村先生のトークイベで何度かお見掛けした、古書に異常に詳しいあのおっさんか 笑2021/09/30
yasu_z2
1
それなりに面白いのだかどの話も終わりが尻切れトンボ感がして残念!2015/03/29