出版社内容情報
わたしにとって世界は、いつも陽が沈んだあとの夕暮れのようだった。あの日が訪れるまではーー。森に囲まれた湿原に春が訪れるといっせいに小さな花が咲く。5枚の花弁を持つその花を、人びとは星の花と呼んだ。湿原のすぐそばに暮らす少女リシュの目は、光に弱く、いつも遮光眼鏡で覆われていた。その瞳が、いつかあるはずのないものを見つけ、母の、そしてこの国の、過去を開いていくとも知らずーー。
内容説明
森に囲まれた湿原に春が訪れるといっせいに小さな花が咲く。五枚の花弁を持つその花を、人びとは星の花と呼んだ。湿原のすぐそばに暮らす少女リシュの目は、光に弱く、いつも遮光眼鏡で覆われていた。その瞳が、いつかあるはずのないものを見つけ、母の、そしてこの国の、過去を開いていくとも知らず―
著者等紹介
濱野京子[ハマノキョウコ]
熊本県に生まれ、東京に育つ。『フュージョン』でJBBY賞、『トーキョー・クロスロード』で坪田譲治文学賞を受賞。その他の主な作品に『この川のむこうに君がいる』『with you』(ともに青少年読書感想文全国コンクール課題図書選出)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りらこ
15
遮光眼鏡越しに見ていた世界。宗教家が独裁者となり、攻めてきた隣国。そして終戦後の世界。最初に遮光の世界から始まるせいか読みながら見えている世界がすぐにモノクロになってしまうけれど、そこから絵を描くことや人との出会い、学校の様子など動き出してだんだん色がついていく感覚に襲われました。主人公の行動によって村が隠してきたこと、湿地の謎などが明らかになるけれど。あれ?が残る部分も。余韻が心に残る良書だった。2025/06/16
ねこ
2
母子三代の物語。縦軸は恋、横軸は戦争。きゅんきゅんした恋というより、ままならない恋。恋ってそんなもんだよね。そんななかを生きて抜いて女たちが逞しい。濱野さんの作品はやっぱり濱野さん。2025/07/04
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- 和書
- まだ夢の続き