出版社内容情報
あの日、正義はどこへ向かったのかーー。口には出せないけれど、誰もが待ち望んでいた修正が、平和が、すぐそこまで迫っている夜、ドイツの小さな町で事件が起こった。14歳のマリーと、15歳の少年ゲオルクとグストル、それぞれの目には何が映っていたのか。過去の惨劇に学び、今日の決断を誤らないよう、今こそ届けたいドイツ児童文学賞受賞作。
内容説明
口には出せないけれど、誰もが待ち望んでいた終戦が、平和が、すぐそこまで迫っている夜、ドイツの小さな町で事件が起こった。十四歳のマリーと、十五歳の少年ゲオルクとグストル、それぞれの目には何が映っていたのか―。過去の惨劇に学び、今日の決断を誤らないよう、今こそ届けたいドイツ児童文学賞受賞作。
著者等紹介
ボイエ,キルステン[ボイエ,キルステン] [Boie,Kirsten]
1950年ハンブルグ生まれ。ドイツを代表する児童文学作家のひとりで、2007年にはそれまでの執筆活動に対し、ドイツ児童文学賞特別賞を受賞。2022年には本作で二度目のドイツ児童文学賞を受賞した。読書の大切さを広めるための活動にも力を注ぐほか、より低年齢の読者に向けても、人気の高いキャラクターを数多く生み出すなど、その活躍と功績により「ドイツ児童文学にとっての幸運の女神」と称されている
木本栄[キモトサカエ]
翻訳家。ロンドン生まれ。ケルンのギムナジウムを経て、ボン大学を卒業。1995年以降、ベルリン在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
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ミュンヘンから約50km南にある炭鉱の町。明けるはずの夜が、終わりの見えない一夜に変わる。罠なのか、何が起ころうとしているのか、現場にいる人ほど事実を知ることはできない。終戦なのか、心に抱く思いをまだ決して発してはいけないことだけは確か。敗戦が決定的なのに直前まで続いた惨劇。あと数日早かったなら。捲る頁を失い物語が終わったとして現実を消すことはできない。平和の鐘はいつ響き、夜の明かりはいつ灯るのだろう。実話に架空の人物を登場させ、ペンツベルクの殺戮を風化させないために記した一冊。人間はまた争いをしている。2025/06/03