出版社内容情報
ーーイーチ、ニーイ、サーン。山の中は薄暗くて、前の日に降った雨のせいか緑と土の甘いような濃い匂いが立ち込めていた。ーーハーチ、キューウーー十。あれから八年。わたしたちは高校一年生になった。絹ちゃんとは、あの日、かくれんぼをしたときから会っていない。ーー野間児童文芸賞、河合隼雄物語賞、坪田譲治文学賞、産経児童出版文化賞ほか受賞歴多数。いまもっとも注目すべき児童文学最新作!
【目次】
内容説明
あのとき、かくれんぼをしようと言ったのは誰だっただろう―。あの家の庭に咲く空木の花言葉は秘密。玄関の向こうに、いったい何が隠されているのか。キャンプ場から姿を消した幼馴染。マスクで顔を隠す同級生。家庭という密室の扉を開けるのは、誰が、いつ―?
著者等紹介
いとうみく[イトウミク]
神奈川県生まれ。『糸子の体重計』で日本児童文学者協会新人賞、『空へ』で日本児童文芸家協会賞、『つくしちゃんとおねえちゃん』で産経児童出版文化賞、『朔と新』で野間児童文芸賞、『真実の口』で日本児童文学者協会賞を受賞したほか、うつのみやこども賞、ひろすけ童話賞、河合隼雄物語賞など数多の受賞歴をもち、読書感想文コンクール課題図書にもたびたび選定される。その他の著書に『羊の告解』(うつのみやこもど賞受賞)ほか多数。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
45
幼い頃、かくれんぼの最中に行方不明になった絹ちゃん。だがそれから8年後、高校生になった子供たちは、絹ちゃんにそっくりな少女の姿を見かける…。友を想う子供たちの必死な行動に胸が熱くなります。その一方で、高校の親友の家庭にも深刻な問題が…。二つの出来事は、どちらか一つに絞ったほうが良かったかも。いとうみくさんらしい良い物語ではありました。2025/12/28
しゃが
34
主人公の野亜の友達の家庭には密室と言い換えてもよい家族の苦しみや痛みが詰まっていいた。愛と称する家庭内虐待が静かにやむことなく、そして依存が芽を出す、ヤングケアラーとして子どもが大人の役を背負わされ、「自分が…」と言い聞かせてしまう。その隙間で、子どもは折れながらも伸びていく。見守る眼差しは逃げ場であり、救いの場を作り、友だちのつながりは成長の証でもあった。沈黙が語るつらさの重さを行動へつなげることで時間が多少かかったとしても未来は変わると描いていた。いとうくみさんらしい作品だった。2025/12/27
りらこ
25
主人公「野亜」は、幼いころに起きたある事柄がずっと心にとげとして刺さっている。幼馴染も同じだ。 とげを抜こうと行動する幼馴染。物語は意外な事実が明らかになり、そこから「行動することの大切さ」を実感する野亜。そして、高校の同級生、絵菜子と彼女が抱える問題。 子どもは環境を選べずに生まれてくるし、育っていくところで環境が変化したとしても、自分の意思ではない場合が多い。しかし「行動する」ことで、自分が選択できる道を切り開くことはできるのだ。未知の未来だからこそ自分で変えられる。子どもたちに読んで知ってほしい。2025/12/17
まる子
25
小学生の時にかくれんぼをしていたら友達が行方不明になった。そしてそのまま8年が過ぎ、私たちは高校生になったー。中里由希は誰なのか?見間違い?さらに絵菜子が早退した理由、休んだ理由は?かつて境界線に植えられたと言われる空木(ウツギ)には「秘密」の花言葉があるそう。人のものはよく見えると同じく、他人の家庭にも「秘密」はつきものだ。高校生たちがその「秘密」の先へ。18歳成人になった彼らが、大人に振り回される事なく、自分で自由をつかみ取る事ができることを願って。いとうみくさん、ザックリと斬り込んでくれました!2025/11/23
遠い日
3
謎に包まれたままの8年前の出来事。16歳になった野亜たちが自らの手で掴み取った本当のこと。 大人の都合で伏せられた秘密に真っ向から立ち向かう絹の決意に震えた。 その一方で、野亜の高校の同級生・絵菜子の抱える問題はまた凄絶なものだった。 家庭の中のことは他人がとやかく言いにくいもの。そこを一歩踏み込んだ野亜のぎりぎりの決断が絵菜子の心に、やっと小さな風穴を開けた。 人は自分を生きる権利を絶対に捨ててはならない。 ミステリタッチのオープニングから一転、社会派の視線へと鋭く斬り込んだ本作、胸奥深く抉られました。2025/11/20




