内容説明
洞窟へ追放されたドールは世界じゅうの人々の訴えに耳を傾けることになった。もっと、もっと多くの時間がほしい…!人類史の始まりのころに生を受けたドール、現代を生きるティーンエイジャーのサラ、病をわずらう大富豪の老人ヴィクター。三人はそれぞれの時を生きていた。天界の老人が、ドールに不可思議な砂時計と、ある使命を与えるまでは…。それは時をめぐる物語の始まりだった。
著者等紹介
アルボム,ミッチ[アルボム,ミッチ] [Albom,Mitch]
作家、劇作家、脚本家。『モリー先生との火曜日』が世界的ベストセラーとなる。ミシガン州在住
甲斐理恵子[カイリエコ]
北海道大学卒業。旅行代理店勤務等を経て、翻訳者に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mocha
100
「時間」という概念を持ってしまったことで、人は時間に追われ、歳をとることを厭うようになってしまった。高校生のサラ、余命いくばくもない大富豪のヴィクター、二人を見守る時の番人。軽いファンタジーかと思っていたら、とても真摯な物語だった。「時間」や、かけがえのない人達との向き合い方を考えさせられる。絶望して「何もかも終わり」と言ったサラに時の番人がかけた「終わりとは、過ぎ去った日々を表わす言葉だ。明日のことではないんだよ」という言葉が印象に残った。2016/07/08
けい
71
この世界の中に時間というものを計り、作り上げてしまったドール。彼は最愛の妻アリを病で失おうという時、アリの元をはなれバベルの塔を駆け上がり時を止めようします。そんな彼に神は罰を与え、彼は『時の番人』に。高校生のサラ、大富豪であるヴィクターの二人を登場人物に加え、有限である時と有限である命、そして本当に大切なものについて語っていく物語。章、章が短く、その中で語り部を切り替えながらの展開ですが、分かりやすく、読み易い文章なのでスピード感が出て楽しんで読めました。『時なんて見つけなければよかったのに』なんてね!2014/07/22
キムチ
51
「今を生きる」というテーマは古今東西、歌にも小説にもなって、些か手垢が!・・と考えている?構成は至ってシンプル~古代人ドール、現代の女子高校生サラ、高齢のヴィクター。三人の考えや動きがコラージュされ、終盤でクロス。読み手の年代やおかれた環境によって、或いは時をどう捉えているかにより、プリズムの様に受け止め方が広がって行くだろう。永遠の命を得たい、生きている意義が解らない、残された時間をどう充実させていくか、愛とは等々人生のその時その時を謙虚に受け止めて行くことを気付かせてくれた言葉が散りばめられている2019/11/11
春が来た
30
”あなたと過ごした時 永遠の星となる。ほら、あなたにとって大事な人ほどすぐそばにいるの。”これは小さな恋のうたの歌詞だけど、この物語は時を超えた壮大な愛のうた。光も色も消えて砂が崩れ落ちるような絶望的な時間を止めてしまいたくなっても「終わりとは過ぎ去った日々を表す言葉だ。明日のことではないんだよ。」今持っている大切なものを忘れないで。2019/01/31
昼夜
24
チッチッチッ…秒針の音。失った時間。いつも時計に急かされていてしたいこと、しなきゃならないことを全部するには時間が足らなさすぎて悲しいと心が時間に振り回され囚われているなと改めて思った。最初、ドールを恨めしく思ったけれど彼を見ていたら時間を一瞬一瞬大切にするために自分の生活を省みてみようと思いました。2014/07/11