出版社内容情報
大和田俊之さん推薦!
「日本語ラップ」と呼ばれる政治的/詩的な運動/文化の重力に真にふさわしい批評の誕生を心より祝福したい。
1970年代のサウスブロンクスで生まれたヒップホップ──このどこまでも「一人称」であることに固執するアートフォーム──の日本語における可能性をこれほど誠実かつ挑戦的に論じた書は他にないだろう。
歴史編、理論編、実践編とでも分けられる三部の構成を通して、本書は反復(the changing same)と迂回(signifying)を繰り返しながら、ヒップホップの日本(語)的「生」へと肉薄する。
「韻踏み夫」がついに本名で世に問う、渾身のヒップホップ批評!
RHYMESTERの宇多丸を最も重要な日本語ラップ批評家だと位置づけつつ、ヒップホップとは「“一人称”の文化」だというテーゼに注目。ヒップホップの本質を「反復=肯定」と概念化し、思想的に展開。作品論の実践として、SEEDA の『花と雨』を具体的に読み解いていく。
ヒップホップ批評の新たなマスターピース、ここに誕生。
「ヒップホップに特権的な身振り、身体性とは、「繰り返し首を縦に振ること」である。それは反復の身振りであり、かつ肯定の身振りである。首を振るという身振りにおいて、反復と肯定が結合されるのだ。首を振ること、すなわち反復=肯定。これこそ、私たちが最も重視する、ヒップホップの本質を表現するアレゴリーである」
(本文より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
波波波
0
めちゃアクロバティックで最高2025/11/07
大豆
0
おもしろかった。第一部が勉強になった。ヒップホップ/ラップミュージックは、日本(語)においていかに可能か、という問いに、ラッパーたちがどのように応答していったかを、宇多丸を最重要人物として、日本語ラップ黎明期から振り返り、ひとつの歴史観が提示される。第二部以降は、難解な哲学の概念を用いてヒップホップ/日本語ラップを分析するという試みで、難しかったが、読み応えがあった。引用、言及されている楽曲のなかでは、RUMIの「あさがえり」が知らない曲だったので聴いてみたら、とてもよかった。ありがとう。2025/10/16
稟
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日本語ラップを正面から分析した本格の批評書。第1章は歴史性や社会性に関するもので、日本語ラップの「一人称」性について、当代を代表する日本におけるヒップホップのレジェンドたちの言説をもとに論じていく。第2章は作品分析に係る理論の整理であり、第3章に向けての橋渡しという性格が強い。かなり硬派な内容だが、この本を手に取った読者のほとんどが抱く、日本語ラップを鑑賞するのみならず分析的に読み解きたいという欲求には十分に応えてくれる。そして圧巻の第3章。SEEDA「花と雨」をダウンロードして聴く/読むことを勧めたい。2025/10/30




