内容説明
悲しくて。悔しくて。寂しくて。一瞬成功したかにみえても待ち受けている落とし穴は底なし。「I love you Debby」ほか、珠玉の作品6編!!
著者等紹介
東山彰良[ヒガシヤマアキラ]
1968年台湾台北市生まれ。9歳の時に家族で福岡県に移住。2003年に第1回「このミステリーがすごい!」大賞銀賞・読者賞受賞の長編を改題した『逃亡作法TURD ON THE RUN』で、作家としてデビュー。09年『路傍』で第11回大藪春彦賞を、15年『流』で第153回直木賞を、16年『罪の終わり』で中央公論文芸賞を受賞。17年から18年にかけて『僕が殺した人と僕を殺した人』で第34回織田作之助賞、第69回読売文学賞、第3回渡辺淳一文学賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
176
東山 彰良は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、直木賞受賞作『流』の続編「I love you Debby」を含むバラエティに富んだ短編集でした。 オススメは、表題作「わたしはわたしで」&「遡上」です。 http://www.kankanbou.com/books/novel/06052024/02/01
しんたろー
124
信頼する読友さん絶賛なので久々の東山さん…5編の短編と表題作の中編が収められた作品集は、様々なジャンルを描き分ける幅広さと、読み易いのに文学感じる表現を兼ね備えた文章力を味わえた。特に女性が主役の2編は既読の作品には感じなかった男性作家とは思えない雰囲気に「巧いなぁ」と素直に思った。短編5作は甲乙つけがたい良作揃いだが、ゾッとする余韻が残る『モップと洗剤』は印象的だった。表題作は切ない中にも微かな希望がバランス良く、ファンタジックな要素やユーモアもまぶされていて「中編の見本!」と言える見事な作品だと思う。2024/07/15
モルク
105
6話の短編集。1話目の「I love you Debby」やっぱり東山さんの台湾ものはいい。アメリカ生まれの娘を連れ台湾の叔父の80才の誕生祝いに行く。叔父は亡き兄の子である主人公を育て独身を通した。叔父と父の関係、そしてふて腐れる現代娘との関係に感慨深い。2、3話目のメキシコの話も東山節炸裂。表題作を含める残り3話はコロナ禍の福岡。次第に蔓延するコロナに外出自粛、営業の制限で職を失い、自分をも見失う主人公たち。東山さんの福岡ものもとても好き。次は長編が読みたい。2024/04/10
ずっきん
70
6短編。愛とウィット、キレがあるのに温かい。引き出しの多さは言うに及ばず。著者の筆はあまりにも気持ち良くてあっという間に読んでしまう。そして読み終えてしまった後の寂寥感に苛まれる。楽しい時間はすぐに過ぎてしまう。寂しい。あああ、次はいつ読めるのだろう。もう認めよう。わたしは東山彰良を愛している。あなたが選ぶ言葉をひとつでも多く読みたいのだ。2024/04/21
たいぱぱ
62
うん、いいね。6つの短編全て毛並が違うが、東山さんの匂いが濃厚に漂ってる。猥雑で暴力の匂いがする台湾、メキシコ、九州が舞台の思った通りいかない人生の悲しみが溢れてる短編集なのに何故だか僕の心を捉えてる。「事実ばかし残って真実やら誰もなんて気にせんやん」確かにそうかもしれない。実際に僕らは他人の真実を見つめようとしない人生を送ってるからこそ、せめて物語の中の『真実』を見つめたいのかもしれない。東山さんの作品はどうしようもない暴力的で退廃的な世界の中で、人の心の中の不器用な『真実』を際立たせている。2024/05/24
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