目次
1(目の奥の空;乱反射;深呼吸;缶詰;水菜と銀河;卒業)
2(傘を忘れる;切手の中の砂丘;空に触れたり;海に来ている;蜩の声;秋の浮力;ギプス;地下鉄の人;白い孤独;レンタルビデオ)
3(小さき老眼鏡;死ぬということ;田島青果店;ひげ;パソコン室;百葉箱;ゆうやけの歌;眠り;鈴;破魔矢;祖父;友のO脚;ポスト;水彩画のような一日;いまを愛せば;あたたかい雨)
著者等紹介
小島なお[コジマナオ]
1986年、東京生まれ。青山学院高等部在学中に短歌を作り始める。2004年、角川短歌賞受賞。歌集に『乱反射』(現代短歌新人賞、駿河梅花文学賞)、『サリンジャーは死んでしまった』、『展開図』。千葉聡との共著『短歌部、ただいま部員募集中!』(岩波書店)。日本女子大学講師。信濃毎日新聞歌壇選者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
304
書肆侃侃房の「現代短歌クラシックス」の1冊。この歌集『乱反射』は角川短歌賞、現代短歌新人賞、駿河梅花文学賞を受賞し、つとに評価の高いもの。歌集の前半は小島なおが高校生の時に読まれている。「東京の空にぎんいろ飛行船 十七歳の夏が近づく」、「噴水に乱反射する光あり性愛をまだ知らないわたし」、「金木犀のにおいを浴びてのぼりゆく坂の上にははるかなる君」。いくつでも引用したくなる鮮烈な歌群である。後半は大学生になってからの詠だが、高校生の時の新鮮さには及ばないか。現代短歌は初めてという人にもお薦め。2024/03/28
livre_film2020
30
とにかく真っ直ぐ。こんな純粋な時期があったなあとむず痒くなった。しかし、思春期に感じる悩みや将来に対する漠然とした不安などもしっかりと31音に込められていて鳥肌が立った。ほか作品が絶版なのが残念。2023/07/02
双海(ふたみ)
15
青山学院高等部在学中に短歌を作り始める。2004年、角川短歌賞受賞。『乱反射』で現代短歌新人賞と駿河梅花文学賞を受賞。表題作は「噴水に乱反射する光あり性愛をまだ知らないわたし」。「なんとなくかなしくなりて夕暮れの世界の隅に傘を忘れる」「はつなつの若楓のきらめきてその下通る人ら美し」「霧雨のあたたかく降る夜ふけてわたしの体かぐわしくなる」私も高校生の頃に短歌を始めていれば良かったなー!2023/06/20
だいだい(橙)
14
小島なおさん。高校生の時に角川短歌賞を受賞した天才少女が出した第一歌集の復刻版は手にとりやすいソフトカバー。字も大きく読みやすくてこのサイズ感がとてもいい。そして内容は最高にいい。私立の大学付属高校に通っていたからこその余裕のある状況から繰り出される短歌は、どれも季節や情景の一瞬をとらえて、映像や手触りまでも浮かぶようだ。若い人が経済的・時間的な余裕と(おそらく親譲りの)才能を持っているとこういうアウトプットもできるのか、とため息が出るほどうらやましい。いいなあ、余裕のある若者って。2023/06/10
ホースケ
8
不思議だ。文章から情景が目の前に広がるような感覚は何度もあるが、においや手触りが身近に感じられる経験というのはそうそうない。飾らない直球の言葉で作られた短歌は例えるなら新鮮な果物を口にした時のよう。みずみずしい感性と甘酸っぱさ。幼さと大人っぽさが同居しているその時代に読者の私も一気にタイムトリップしてしまった。「プールサイドの腕をじりじり蟻のぼるその秒刻に夏が濃くなる」「なんでもない悩みに悩むわれつつみ映画のエンドロール流れる」「すっぽりとタートルネックを着たわれはきみに気づかぬふりをしている」好きな歌だ2024/09/21