内容説明
豊かな歴史的蓄積と日本への深い愛情のもとに、日本と西欧世界という二つの文明の衝突と融合の歴史でもあった日本の近代史を美しく知的な文章で描いた先駆的労作。本巻では、徳川社会の発展とその終焉、開国から明治維新への変転の軌跡をたどりながら、鎖国体制の下、日本と西欧との交錯がどのような結実を見せたのかをさぐる。
目次
徳川政体
十八世紀の日本
鎖国の終末
幕府政治の最終段階
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
4
「もし鎖国政策が取られなかったとしたら、どんな変わった諸事件が起こり得たであろうか…日本がさらに内戦の災いを受けるようになったことは疑いない。そして…日本自身がヨーロッパの先例を踏襲し、造船と軍需手工業が急激に発達して、1600年以降太平洋で展開し始めた貿易国の間の争いに一役かっていただろうことは、まさにあり得るところである。しかしながら…二百年余りの乱されることのない平和を、享受することとはならなかったであろう…西洋人との交渉を切断することによって贖われた…その代価は決して高すぎはしなかった。」2025/07/13