内容説明
「わたし」の内なる多様性に気づく旅―。台湾と日本のあわいより送るエッセー、33編。
目次
はじめに どうしてわたしは台湾について考えるのか
社会
ジェンダー
日台文化比較
歴史交錯
映画・アート・本
あとがき 台湾と日本、「おもろい」の万華鏡
著者等紹介
栖来ひかり[スミキヒカリ]
文筆家・道草者。1976年生まれ、山口県出身。京都市立芸術大学美術学部卒。台湾に暮らす日々、旅のごとく新鮮なまなざしを持って、失われていく風景や忘れられた記憶を見つめ、掘り起こし、重層的な台湾の魅力をつたえる。挿絵やイラストも手掛ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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livre_film2020
42
山口県出身、京都市立芸大卒、台湾人との結婚を機に台湾へ移住した著者が、日本と台湾のあいだで考えた日々を綴ったエッセー。政治から歴史、アートまで台湾と日本のいろんな側面を知ることができる。そもそも、台湾に16部族いることすら知らなかった私は最初から驚きっぱなしだった。「台湾は『親日』といわれているけど、日本が占領した過去を忘れてはいけないよ」と高校の歴史の先生が言っていたこと、中国との国交再開のために台湾を日本政府が見限ったことくらいしか台湾に対する基礎知識はなかった(まだある方かもしれないが)。2023/08/12
R
34
日本と台湾の今を描いたエッセー集。人や文化、生活といったものを歴史や、映画、政治思想などの面も考えながら書いたもので、日本と台湾の違いと同じところ、その根源にあるものは何かといったところの考察が面白かった。台湾が様々な支配を受けてきたという歴史の上にあるということが、比重として大きく、それがゆえに多様性への許容が大きかった理、民主政治のありかたとして模範的のように見えたりといったことが興味深かった。意見をどうするよりも、違いや同じところを確認するのがよいなと思った。2024/09/24
YO)))
14
福島原発事故への反応やコロナ対策、同性婚を始めとするジェンダーの話題など、アップトゥデイトかつ重要なトピックが多くとても参考になったし、後半の映画や美術を中心としたカルチャーの話題も楽しい。 何より表紙がめちゃ可愛くて良い本だと思う。フグ、バナナ、牛、など、読めばなるほどと分かる。2024/02/18
Shimaneko
13
台湾在住のライターによる、エッセイというより時論もしくは時事コラム集といった趣の良著。冒頭の「本書の表記について」からして、その生真面目さがうかがわれる。先に台湾で出版されたそうで、長年のライトな台湾ファンとしては大変ありがたい旬の話題が多く、歴史的・社会的な背景のみならず、カルチャー系についても、いろいろアップデートできて勉強になった。『幸福路のチー』をもう一度観たくなるし、『一秒先の彼女』と『返校』も観なくっちゃだわ。オードリー・タン氏の言う「虹史観」が、さすがというか実に素敵。2023/12/11
ののまる
8
ふわふわしたエッセイ集なんかなと勝手に思っていたが、硬派! 視点が勉強になる。2024/02/25