目次
生を知るのみ
干潟を歩む
ヘルパンギーナ
踏みがたきかも
秋のみぎはに
瓦礫を崩す
秋冷の領
いかなる筏
芥屋の海風
水を送る
吾児よ気づくな
葦原にあるか
かもめの朝に
風に揺らぐよ
爽昧の井戸
進撃の児は
富山の夏へ
能古島の影
午後の鋳像
桃色の卵
母知らず
網より払ふ
冬の点描
柘榴を見つむ
海峡に立つ
粉塵を呑む
九州を去る
著者等紹介
黒瀬珂瀾[クロセカラン]
1977年、大阪府生まれ。春日井建に師事。歌集に『黒耀宮』(ながらみ書房出版賞)、『空庭』、『蓮喰ひ人の日記』(前川佐美雄賞)。未来短歌会選者、読売歌壇選者。富山市の願念寺住職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
261
黒瀬珂瀾の第4歌集。この人はこの歌集ではじめて知ったのだが(そもそも私が知っている現代歌人は少ない)読売歌壇の選者を務めているようで、どうやらかなり名のある歌人、かつ実力派のようだ。また、裏表紙のプロフィールによれば春日井建に師事していたとある。ただ、この歌集を読む限りではその片鱗があまり見られない。「剱いま晩夏にかすみゆく午後のおまへは雨を知って死ぬ蝉」他1、2首くらいか。むしろ、ここではアララギ系かとも思われるような我が子を詠んだ歌が目立つし秀歌も多いように思われる。2024/05/31
梶
27
著者に短歌を見てもらった縁もあり、読んでいて等身大の、彼の穏やかな声を感じるようだった。父としての視線が透徹しており、子どもの温度をうたったものが多い。短歌は日常を鋭角にも鈍角にも切り取ってゆき、その活動写真を手際よく、綺麗に並べていく作業において著者の手つきが光っているように思われた。2025/01/12
あや
13
お子さんと福島と海を詠んだ歌が好きです。2022/01/09
tetekoguma
2
黒瀬珂瀾さんの最近の歌集。子どもが生まれて戸惑う心情を素朴に描いているのが印象的でした。311後の福島や九州の情景を詠んだ歌も印象的。2022/06/20
ぷくらむくら
2
子供と日々の生活が独特の口調で語られる。2021/10/27