内容説明
子宮内胎児死亡のため、妊娠34週で死産した。泣き声をあげることのなかった子どもに、もう一度会うために。暗くて静かでちょっとあたたかい夜の海みたいなこの部屋を出て、私と夫は旅に出た。
目次
1章 その瞬間のこと。
2章 転院。
3章 産まれる。
4章 誕生と葬式。
5章 ここは棺桶ではなかった。
6章 私の中を確かに通り過ぎたもの。
7章 子どものいない産褥期。
8章 月命日を数える。
9章 あの暗い闇の一番奥へ、もう一度。
最終章 生きている。
著者等紹介
川上夏子[カワカミナツコ]
グラフィックデザイナー。1974年生まれ。福岡県出身(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
162
図書館本。突然の子宮内胎児死亡の宣告。それでも陣痛に耐えてこの世に送り出した娘、小夏。小夏と過ごす昨日が初めての日、そして今日が最後の日。鼻水やよだれも少し出ている。でも拭かない。もったいないから。きれいだから…。そして否応なく始まる日常。心がついていかなくて落ち込んだり、感情的になったり。そんな中でも毎日きちんと作られるご飯の数々。あなた、大丈夫ですか?三食ご飯を食べていますか?簡単に感想は語れないが、著者の言うようにこの本が似たような体験に苦しむ人達の心の拠り所になればと思う。2020/04/26
fwhd8325
62
男性である私が、感想を書くことに迷っています。単純に、妊娠、出産は、ものすごい闘いなんだと書いてしまうことすら、どこか嘘くさい感想のように感じます。著者は、この苦境の中でも、どこかユーモラスに日記を綴っています。それは、誰のためでも無く、自分の為、小夏さんのためなんでしょう。一生経験することの無いことだけに、慎重に読みました。一文字たりとも疎かにしてはいけないのだと。著者ご自身も、10年の時間が必要だったとおっしゃっています。それを一度読んだだけで、感想なんて書けません。でも、すごい作品だよ。2020/03/11
ほう
3
大事に育んだお腹の中の赤ちゃん。突然に拍動が止まってしまうって、考えられない程の衝撃だと思う。旦那さんのサポートが温かくて読んでいて救われた。小夏ちゃんは彼女の中で生きている。2020/07/22
わい
2
きっと、作者の想いは同じ体験をした人に届くと思います。私はごくごく初期に失ったけどでもそうとうつらかった。何気に手に取った本だったけどきっと会うべくして出逢った本。2020/07/19
井手 澄英
1
出産予定日を間近に流産。初めてのお子さんを迎える幸せなはずの日々が突然一変し『あの日』に永遠に取り残される著者。言葉に出来ない怒りや悲しみを抱え、乗り越えてまた新しい命に出会うまで、ご主人との喧嘩も慰めも赤裸々に綴った記録本。書くことで前に進むことを決意した著者の力強さに感銘を受けました。 2021/01/20
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