目次
1 自分の欲望を知ろう(さよなら、マギー―内なるマーガレット・サッチャーと戦うために;バーレスクってなんだろう? ほか)
2 男らしさについて考えてみよう(キモくて金のないおっさんの文学論―『二十日鼠と人間』と『ワーニャ伯父さん』;アメ車、男たちの絆、この惑星最後の美しき自由な魂―『バニシング・ポイント』 ほか)
3 ヒロインたちと出会おう(シェイクスピア劇の魅惑のヒロイン、無限に変化する女王クレオパトラ;世紀末の悪女?自己実現のため戦うヒロイン?ゲイのアイコン?―オスカー・ワイルドの『サロメ』 ほか)
4 わたしたちの歴史を知ろう(女の子がムラムラしてはいけないの?イギリス文学における女と性欲;「#女性映画が日本に来るとこうなる」の「女性映画」ってなに?―変わりゆく女たちの映画 ほか)
5 ユートピアとディストピアについて考えよう(愛の理想世界における、ブス―夢見るためのバズ・ラーマン論;隠れたるレズビアンと生殖―『わたしを離さないで』 ほか)
著者等紹介
北村紗衣[キタムラサエ]
1983年、北海道士別市生まれ。専門はシェイクスピア、フェミニスト批評、舞台芸術史。東京大学の表象文化論にて学士号・修士号を取得後、2013年にキングズ・カレッジ・ロンドンにて博士号取得。現在、武蔵大学人文学部英語英米文化学科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぷんぷん茶釜
69
読書や映画体験を読み解くための新たな批評の磁場を感じます。その発見の手がかりを作ってくれるので、そこが読み手を惹きつける魅力になっているような気がします。 文学が「キモくて金のないおっさんたち」の宝庫だなんて、目から鱗の卓見でした。驚愕を覚え、文脈を追いながら高揚感も湧いてきました。 その奥に潜む何かは、時代を貫通して底流に横たわっているものなのではないでしょうか。そんな好奇心に火をつけてくれる本でした。2019/07/20
TATA
62
フェミニズムの観点をしっかり持って演劇、映画、文学作品を見てみれば、という感じのケーススタディとでも考えればいいのか。なるほどね、確かに色んな点で男性優位の考え方に固執していたのかもなと。視点を変えれば世の隅々に前近代的な考え方がチラホラと。イコールな考え方、自分が会得するのはタフだけどまずは触れて理解していけるように。うん、目からウロコの一冊でした。ディズニーのお姫様志向にも一言申す、あと腐女子も登場、うーん、なかなか。2020/01/15
shikashika555
56
フェミニズム批評という分野があるんだ!という新鮮な驚きとうれしさ。 文芸作品を読んで 女性の扱いがあまりに酷い事が気にかかり作品を味わうどころではないことがある。 書かれた時代や国の価値観ではそのよえなものであったにせよ ずっと不快なザラつきが残るのだ。 それは フェミニズム批判という切り口で 堂々と俎上にあげても良いものなんだと確認できたのがいちばんの学びでした。 きちんと引っ掛かりを明るみに出して 言葉にすることで前に進むことはたくさんある。 解釈時点での間違いには注意しつつ作品の見方を変えて行きたい2021/05/27
ゆう
45
シェイクスピア研究者の北村紗枝さんによる 、フェミニスト批評入門。文学だけでなく、演劇や映画、果てはバーレスクまで、様々な作品を取り扱いながら、快刀乱麻の手さばきでそこに存在する女性・男性・マイノリティの抑圧を浮き彫りにしてくれます。「人類のデフォルトは男性であり、女性は別ジャンルにしないといけない例外であるようなのです」この一文には私の、フェミニズムの端緒が詰まっており、頭がもげるほど頷いた。本書でも取り扱われた女性映画などの女性〇〇、もしくは〇〇女子という言葉たち。女もmanだっつーの!面白かったです2019/09/23
おさむ
42
フェミニスト批評家による映画や文学、演劇などのエッセイ集。なるほど、こんな見方があるんだなと感心します。オスカー・ワイルドの「サロメ」は女性嫌悪的ファンタジーに満ちた悪女との見方の一方で、家父長制に反逆する新しい女と見る見方、同性愛に関する物語との見方もある。「シンデレラ」はもともとは多様な物語があったのに、ディズニーにより受け身で結婚が全てという価値観ののヒロイン像のステレオタイプが浸透してしまった。「アナと雪の女王」も同性愛の話として受け取られている‥。うーむ、解釈というのは人それぞれで面白い。2020/12/29
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