内容説明
予測不能な世界への9つの扉。さあ、あなたはどの扉から入りますか?後悔、絶望、驚嘆、落胆、失笑…。思いがけない出来事の行く手には―。突然の事故により権利を行使した夫婦のその後…「一人なら殺してもいい」、恋心を抱く同級生に誘われ禁止されている壁の外へと踏み出す。そこに待っていたものとは…「誰もいない街」、突如よみがえったあの日の記憶「手の中の希望」、朝起きると太ったおじさんになっていた「消えてしまいたい」など9つの物語を収録。
著者等紹介
高橋徹郎[タカハシテツロウ]
1967年愛知県生まれ。九州芸術工科大学芸術工学部卒。劇団を主宰し、KBCドォーモリポーターやラジオパーソナリティーとして活躍。多数のテレビドラマ、ラジオドラマの原作や脚本を担当する。2014年から糸島市議会議員を1期務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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❁かな❁
192
これはなかなかよくできた短編集♪どのお話も世にも奇妙な物語みたい!バラエティ豊かで面白い!突然の事故で生涯一人までなら殺しても罪に問われないという権利を行使するかどうか葛藤する夫婦のお話「一人なら殺していい」がブラックだけど一番インパクトがあった。「誰もいない街」「未開の地」「イノベーション」発想が面白い。「当たりくじ」「消えてしまいたい」はクスッとしちゃう感じ。「過去から来た男」は数回涙して読後感も良い。著者は実際、世に奇妙の原作や脚本も担当されてたそう。わーって思ったりドキッとしたり色々楽しめる作品。2019/05/28
🐾Yoko Omoto🐾
151
生涯で一人までなら殺しても罪に問われない権利を行使できる法律、ウイルスの蔓延により人口が激減した世界の真実、進化し続けるAIなどバラエティ豊かな10の物語。ifの世界とSFテイストを軸に、今を生きる人間たちへの皮肉や警鐘、郷愁を誘う過去の風景など、ハタと考えさせられるストーリーが並ぶ。マイベストは、普通だと思っていることも視点が変われば異質でしか無いと表現した「未開の地」、極端な本末転倒をシニカルに描いた「イノベーション」、時代に合った生き方を考えさせられると共に、心暖まる読後感の「過去から来た男」。2019/05/04
nobby
124
これは軽めだけど切れ味鋭い作風を安心して読める短編集。派手なSF展開や特別な仕掛け・斬新なオチがある訳でもないが、10頁から40頁前後で描く9編とも印象に残るのが秀逸。ありふれた日常や現在の社会情勢など、自分に身近な事柄を自虐的に苦笑しながら読むのがたまらない。個人的には「未開の地」「イノベーション」での日本とか人類への風刺が好み。ノストラダムス予言を重ねた「カウントダウン」の顛末と最後の女の子の見解にもニヤリ♪そんな中で最終話締めくくりの「この世に居場所がないのも良いものだ。」には油断していた故に号泣…2019/08/10
あも
95
面白い!読メ初めて以来すっかり読みたい本が次から次へと舞い込む中、たまには昔のようにジャケ(というか背表紙)借りor買いしたくなるわけで、それが当たりならすごく嬉しくなる!ショートショートと短編の中間ぐらいの長さだが、サックリ切れ味抜群の短編集。生涯に一人まで殺人の罪が無効になる権利を持つ社会…事故で子供を跳ね、権利を行使したた夫婦はどうなる?なんてドブラックな話からスタートして、切ない話やギャグ、SFなど、星新一を少し想起するところもあり、満足度は非常に高かった。専業作家ではないらしいのがちょっと残念。2019/04/15
miww
90
なかなかひねりの効いたSFの短編集。それぞれテイストが違って楽しめ、どれも途中で状況がわかってくる感じが面白い。いちばん楽しみにしていた「一人なら殺していい」のブラックさがやはり好みだったな。そして「過去からきた男」居場所がなくなってしまった事とその歳月を思い知る男の哀愁が沁みた。2019/05/20