内容説明
「たべるのがおそい」で衝撃的な話題を呼んだ「回転草」、冬休みに母と妹とともに亡き祖父の湖畔の家で過ごした恐怖の日々を描いた「夜」、キリンになったミカを解体する描写からはじまる「彼女をバスタブにいれて燃やす」、記録的な吹雪の夜に現れたユキとの氷の生活を綴った「海に流れる雪の音」をはじめとする、愛と狂気と笑いと優しさと残酷さとが混在した10の物語。
著者等紹介
大前粟生[オオマエアオ]
1992年兵庫県生まれ。2016年、「彼女をバスタブにいれて燃やす」がGRANTA JAPAN with 早稲田文学公募プロジェクト最優秀作に選出され小説家デビュー。「ユキの異常な体質または僕はどれほどお金がほしいか」で第二回ブックショートアワード受賞。「文鳥」でat home AWARD大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
99
何ともシュールな味わいの小説集。普通の感覚で読み始めると奇妙な言葉に躓かされる。えっ、回転草、僕、演技?。何事も無いかのように進む物語に脳みそを半分だけ置いてけぼりにされたような感覚となった。他の話でも何度も復活するヒナタって何者?とか引っ掛かりながらも、その懸命さの陰にある現実的な違和感を感じさせられる。「彼女をバスタブに~」は変わってしまった彼女にすることに息苦しさを。現実のようで一部だけ非現実と置き換わった世界は、滑稽さと残酷さと哀しさが重なり合ったような独特な読み心地の余韻を残していた。2020/03/08
吉田あや
62
世にも不思議なショートショートのような、書下ろし作品を含む10の短篇たち。楽し気に始まったはずの話も、ホラーめいた話も、ミステリーのようににじり寄る恐怖も、気が付くと手品のようにとんでもない場所へと読み手を連れ去ってゆく快感に満ちている。言葉が「意味」としてではなく、本能に訴える五感や感覚として「塊」となり降ってくる感覚にとまどいながらも、大前粟生という未知の文学に身を委ねる愉しさに、時間も、温度も、世界という概念のすべてを忘れて揺られていた。2018/07/19
ネギっ子gen
55
著者紹介に、<「彼女をバスタブにいれて燃やす」が早稲田文学公募プロジェクト最優秀作に選出され小説家デビュー。「ユキの異常な体質 または僕はどれほどお金がほしいか」で第二回ブックショートアワード受賞。「文鳥」でat home AWARD大賞受賞>とあるが、その3作を含む奇想溢れる10の物語を収録。「ユキの異常な体質 または僕はどれほどお金がほしいか」は「海に流れる雪の音」に改題。表題作「回転草」は、西部劇お馴染みの絡まったあの球体の枯れ草が主人公。他にも雪女とかヴァンパイアとか、異常な設定が愉快な短編集。⇒2023/06/17
アマニョッキ
51
回転草2周目。こんな短期間でおかわりしたくなるなんてもう回転沼にどっぷりはまっているかも。なにがすごいって2周目の方が圧倒的に面白いということ。「海に流れる雪の音」なんてオチを知ってから読むと最初の違和感半端ない!この感覚好きだわー。2020/04/03
アマニョッキ
44
まず装幀が好きすぎる。内容は好きなものとちょっとよく分からないものと半々くらいかな。「回転草」「文鳥」「夜」あたりがとても好き。大前粟生さん初読みでした。次は巷で評判の「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」を読もうと思います。2020/03/31