目次
第1部(紫だちたる;釣鐘まんぢゆう;東京臓腑 ほか)
第2部(八瀬童子;沈黙の黒い犬;おまへから征け ほか)
第3部(24時間)
著者等紹介
林和清[ハヤシカズキヨ]
1962年、京都市に生まれ。1991年、第一歌集『ゆるがるれ』(第18回現代歌人集会賞受賞)。現在、一カ月のカルチャー教室が50講座を突破し、限界を超えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
291
いいタイトルだが、これはもちろんロブ・グリエ脚本、アラン・レネ演出の映画から採られている。林和清の第3歌集で三部構成から成っている。京都の地にあることを踏まえた歌が多いように思う。もっとも、やたらに地名を振りかざすことはしないのだが。「ふりむけば落武者ばかり群れていた芙蓉の寺のぬかる庭土」。この歌もそうなのだが、死や死者を詠ったものもことさらに多い。「北上の五月よかつて師は言ひきたましひと風はおなじ語源と」。これは亡き師、塚本邦雄を偲ぶ歌。塚本の弟子であったらしいが、私にはあまりそのようには見えない。2024/04/08
このみ
5
歌集。あとがきに「タイトルは、アラン・レネ監督による一九六一年のフランス映画から」「私自身、この映画をくりかえし観たような気がするし、まだ一度も観ていないような気もする」とある。その洒脱。タイトルとして使うに素晴らしく魅力的だが、映画から想起するのならファム・ファタールたる存在が欲しかった。それがいにしえの歌読みの女君ならば。地名も出来事も知らないことが多く勉強になった。京都に暮らしたい気持ちに。「あけぼののやうやうしろき山際を見つつリビングに朝の茶を喫む」「24時間」という試み面白い。2024/09/29
Cell 44
2
「虫襖といふ嫌な青さの色がある暗みより公家が見詰めるやうな」「さくらばなひとつびとつは蔵でありむかしのひとの名前を蔵ふ」「五月、自分をあなどつてはいけない五月、自分がどれほど恐ろしいかを」「いやむしろ問はれてゐたのは俺だつた桜は咲かうと苦しんでゐた」「起きたのか 白いものを着て廊下に立つこのひとは夜の木蓮の花」2021/04/24
toron*
1
源氏物語で紫の上が「さはみづからの祈りなりけり」というつぶやくシーンがあるという詞書がとても良かった。 花を見て歩きすぎたか水つぽい臓腑を容れた体が重い 安心と不安を同時にもたらして夜の言葉は真鍮のてかり 若者はみな死ぬべしと或る人は思ふものらし夜の雨足 大阪の人らはみんな急いてゐる知らぬまに死にまた生きかへる 上の句の字余り、また固まりでないと読めず韻律が取りにくかったり、結句が六音になっている歌がわりとあった。整えたくなるのだけれど、ストレートな感情として調べにのせているからなんだろうか…。2020/07/03
グワカマーヨ
0
私も24時間を歌にしてみようか。2018/06/29