内容説明
生を見つめる。死を見とどける。言葉とイメージの世界を自在に散策する。派遣獣医師としての口蹄疫防疫作業のドキュメント。
目次
1(たましいひとつ;まだ動いてる;研ぐ)
2(土瀝青に;今切;男か女か ほか)
3(吊るされる水;片肺がない;大正坂 ほか)
著者等紹介
白井健康[シライタツヤス]
静岡県浜松市生まれ。2011年第22回歌壇賞次席。2014年未来短歌会入会、加藤治郎に師事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kaizen@名古屋de朝活読書会
29
#短歌 p.9 内海を流れる潮で手を洗う殺めた牛の血を洗うよう p.11 夏の日が忘れ去られてゆくように日照雨のひかりを餌槽に食べる p.12 倒れゆく背中背中の雨粒が蒸気に変わるたましいひとつ p.13 タイベックスの防護服から雨粒が胸郭あたり乳房を冷やす p.16 三百頭のけもののにおいが溶けだして雨は静かに南瓜を洗う 二十一nmのウィルスの螺旋のなかのオワーズのひかり2017/09/22
しなの
8
これは、おとなの歌集だと思う。 詳しい感想はこちらに前後編で書きました! ↓ http://mxmidori.hatenablog.com/entry/20170507/14941571672017/05/25
yumicomachi
2
速度がありつつ、重厚であり、技巧的で冗舌な一方で、朴訥でもある。「あじさわう」や「ししくしろ」といった枕詞から「ケタノール」「カラザ」まで豊富な語彙が詩語として駆使されている。また、現代詩も収録されている。〈たくさんのいのちを消毒したあとの黙禱さえも消毒される〉〈百日紅(むかしむかしサーカスが来た)首くるくるって落ちてしまった〉2017/11/23
青色
1
なんとなく息苦しくなるような雰囲気の歌が多いなと。好きです。「死はいつもどこかに漂う気のようなたとえば今朝のコーヒーの湯気」「つま先から溶けあったままになっている火の消しかたを習っていない」「窓のない真白の部屋は静謐でただそれだけでむしろでたらめ」特に好き2018/10/16