出版社内容情報
【香煙を射抜く春雨 叶へたき願ひは棄てたき願ひにも似て】
石垣島の鮮やかな色彩の中で
光と緑にさらされ
発熱しながら、うたは
霧のようにうかびあがってくる
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石垣島に暮らしはじめて4 年半、
2012 年から2016 年までに詠んだ歌より372 首を収録。
家族(妻と子)と島での生活を楽しみながら
短歌を発表し続けている著者ひさびさの歌集。
光森 裕樹[ミツモリ ユウキ]
一九七九年兵庫県宝塚市生まれ。沖縄県石垣市(石垣島)在住。
二〇〇八年、「空の壁紙」にて第54回角川短歌賞受賞。
二〇一〇年、第一歌集『鈴を産むひばり』(港の人)を上梓。
同歌集にて第55回現代歌人協会賞受賞。
第二歌集に『うづまき管だより』(電子書籍)。
目次
月のむかう
空と呼ぶ
きさらぎの質草
Madagascar2012
山椒魚が飛んだ日
石垣島2013
冠を正す
其のひとを
香煙を射抜く
無を煮込む〔ほか〕
著者等紹介
光森裕樹[ミツモリユウキ]
1979年兵庫県宝塚市生まれ。2008年、「空の壁紙」にて第54回角川短歌賞受賞。2010年、第一歌集『鈴を産むひばり』(港の人)を上梓。同歌集にて第55回現代歌人協会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
285
光森裕樹は、これまでに角川短歌賞、現代歌人協会賞を受賞している。タイトルからはエキセントリックな歌を想像するが、実際は実生活に根ざした実感を深みから詠う歌人。妻の分娩時に立ち会った時の連作詠「陣痛の斧に打たるる其の者の夫なら強くおさへつけよ、と」。そして、おそらくは未熟児として生まれた我が子に寄り添う一連の歌群「保育器はしろく灯りて双の手の差し入れ口を窓越しに見つ」。同一主題の変奏、あるいは連想から生まれる類歌群など、強い執着を見せる歌人である。想いの強さが歌の強さに反映されているのだろうか。2024/04/05
yumicomachi
3
随所に企みもあるがあざとさはない。父親として子の誕生を待ち名前を考えたりする「其のひとを」という一連が特に心に残った。2017/05/04
MILK
2
朝日新聞の書評がきっかけで「鈴を産むひばり」を読み、こちらの作品も読みました。日頃詩や短歌や俳句は全く嗜まないのですが、この方の作品は何だかしっくりくるのです…赤ん坊の握った手の指を一本ずつ開いていって、ふふ何もない。という句とか、とても好きです。2018/01/13
toron*
1
『桜前線開架前線』を読んでから気になった歌人だったので…でも第三歌集ということか、けっこう印象が違った…桜前線に載ってた歌はわりと個人の感情が見えにくい、クールな視点や理系な要素が多かった気がする。今回は育児詠、吟詠みたいなものが目立つ。これはこれでいいなと思ったけれど、第一歌集を手に入れて読んでみたい。 「ちひさきもおほきもおなじかたちして濡れおり航空機の幼態成熟(ネオテニー)」 「其のひとの疾き心音はなつかしく雨ふりどきのなはとびの音」 「雨よりもさきに教へるあまがさのあなたが生まれてから苦しいよ」2019/01/10
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