目次
旧作の夜
有名税
ひとりで踊れ
きみを嫌いな奴はクズだよ
無色の虹
理想の墜落場所
小道具の月
雲の待合室
僕の身体はきっと君にふれるためだけにある
六角形の回廊
おまえを忘れない
著者等紹介
木下龍也[キノシタタツヤ]
1988年1月12日、山口県生まれ。2011年より短歌をつくり始め、新聞歌壇、雑誌、Twitter、短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」などに投稿を始める。2012年に第41回全国短歌大会大会賞受賞。2013年に第一歌集『つむじ風、ここにあります』(新鋭短歌シリーズ1/書肆侃侃房)を上梓。結成当日解散型ユニット「何らかの歌詠みたち」で飯田彩乃、飯田和馬、岡野大嗣とともに短歌朗読イベントを不定期に開催している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キク
64
小説は物語を読むものだけど、詩や短歌は詠み手の想いを読むものだと思っている。その意味でこの作者はおもしろい人だ。「自転車に乗れない春はもう来ない乗らない春を重ねるだけだ」「あの虹を無視したら撃てあの虹に立ち止まったら撃つなゴジラを」「くらいくらいおなかのなかで目を閉じて母の思考の川を見ていた」「戦争が両目に届く両耳に届く時間を与えられずに」「すまないが静かに死んでくれないか総理が夢の入口にいる」「戦争を覆う大きな手はなくてきみは小さな手で目を覆う」「飛ぶ鳥の腹を見ながら花を踏む縦の視界のせまいぼくらは」2023/01/22
アマニョッキ
62
「飛ぶ鳥の腹を見ながら花を踏む縦の視界のせまいぼくらは」この歌が皮肉に聞こえるほど作者の視界はひろい。空の目線で、土の目線で、湖の目線で、そして人の目線で世界をつぶやく。たった三十一文字あまりでこんなにも世界をひろげられるのかと思う。視点のよい人にめっぽう弱いわたしなんかはもう一発ノックアウト。「ここにいてここにはいない読書家をここに連行するためのキス」「死に終えた電池のように明確な拒絶でぼくを安心させて」「二階堂ふみ四階堂ふみふみ六階堂ふみふみふみ」2017/12/18
あも
45
木下さん合わないかもなー。突き詰めたら短歌に限らずどんな芸術も創作物もそうなのだけど、良い悪いではなく合う合わない、刺さる刺さらない、なので。小説だとトリックや展開や文体やキャラクター造詣や評価軸が沢山あるのでここは合わないけどここは好き!が成立するけど、短歌はもう感覚でどないですか!の割合がでかいのよ!木下さん感性若いな!なんやかやが堆積して分厚い層ができてるせいで1ミリも心に触れなかったわ……。良くも悪くも何も感じなさすぎた。ここで一首。つらつらと言い訳ばかりのレビュなれどタイトルだけは刺さったかもね2023/08/20
annzuhime
44
島外の図書館から取り寄せ。先日、テレビで見て気になった新鋭歌人。現在の世界情勢を考えると、戦争に関する歌がすごく響いた。他の歌も、言葉から見える景色が分かりやすくて良い。/戦争が両目に届く両耳に届く時間を与えられずに/ここにいてここにはいない読書家をここに連行するためのキス/立てるかい 君が背負っているものを君ごと背負うこともできるよ2022/10/08
禿童子
39
2016年刊。夢は現実を予言し、現実に裏切られるのか:「すまないが静かに死んでくれないか総理が夢の入口にいる」「戦場を覆う大きな手はなくて君は小さな手で目を覆う」/雨の歌に秀歌多し:「「いきますか」「ええ、そろそろ」と雨粒は雲の待合室を出て行く」「もうずっと泣いている空を癒やそうとあなたが選ぶ花柄の傘」/一番好きな歌:「なかゆびに君の匂いが残ってるような気がする雨の三叉路」2023/05/29