目次
Prologue エドガア・ポオの墓
Premi`ere partie 二〇一一年(おやすみなさい、鳥類;archaeopteryx diary;忘却のための試論 ほか)
Deuxi`eme partie 二〇一一年以前(世界空洞説 十代作品集;びいだまのなかの世界;ふーじゃ ほか)
Troisi`eme partie 二〇一一年以後(冬の羽根;遅延;青と蒼 ほか)
´Epilogue または、わが墓碑銘
著者等紹介
吉田隼人[ヨシダハヤト]
1989年4月25日、福島県伊達郡保原町(現在の伊達市)に生まれる。町立の小中学校、県立福島高校を経て、2012年3月に早稲田大学文化構想学部(表象・メディア論系)卒業。2014年3月、早稲田大学大学院文学研究科(フランス語フランス文学コース)修士課程修了。現在、博士後期課程に在学中。2013年に「忘却のための試論」50首で第59回角川短歌賞を受賞。早稲田短歌会ほかを経て、現在無所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
274
吉田隼人の第1歌集かと思われる。エピローグによれば、この歌人は16歳から歌を詠みはじめたらしい。本書にも「世界空洞説」の項目で10代の歌の何首かが収録されている。本書の刊行当時でも未だ26歳。私はやはり近作が断然個性的でもあり、また優れていると思う。例えば「建築のあひまを燃やすあさやけを飛びながら死ぬ冬の鳥類」。「あるいは夢とみまがふばかり闇に浮く大水青蛾も誰かの記憶」。この人の歌は現実から発してはいるのだろうが、それが歌となった時には虚構の文学空間を構成する。それがこの人の歌の最大の魅力だろう。2024/06/02
kaizen@名古屋de朝活読書会
43
#吉田隼人 #短歌 かなしいという感情の欠落は鳥や樹木にみとめられたり #返歌 楽しいという感情の氾濫は花や樹木がパーティなんす 2016/01/27
秤
14
おしばなの栞のやうなきみの死に(嘘だ)何度もたちかへる夏|いうれいを一度だけ見たことがあり(冬なのが悪い!)寝床にもぐる|右手のみなき人形をいちめんの菜ノ花畑に埋めて帰りぬ|ひたすらに雪融かす肩 母よ 僕など産んでかなしくはないか|もうなにもできなくなつてしまつたと告げて消えたき未明のこころ2023/02/18
双海(ふたみ)
13
2013年に「忘却のための試論」50首で第59回角川短歌賞を受賞。早稲田短歌会ほかを経て、現在無所属。「かなしいといふ感情の欠落は鳥や樹木にみとめられたり」「まんじゆしやげ。それだけ告げて通話切るきみのこゑ早や忘られてゐつ」「はつなつは死ぬに適さぬ季節だと告げたし告ぐべき相手はあらで」「しろたへのをとめの腋窩ちかければほのかに蘭の腐れるかをり」2023/07/30
内藤銀ねず
8
時代に逆行するような、文学の香り高い歌集。井上法子さんの『永遠でないほうの火』と並んで短歌に親しまない人にこそ読んでほしい一冊。短歌はこうあって欲しい、と漫然と思っていたところにこの歌集が出たので、とても安心した次第(でも本編は安心して読めるような内容ではないです)。ひりひりするような生(せい)の痛さ。破格の新鋭歌人だと思います。