目次
星々の冷却
無関係に雲は流れる
階段を降りてくるやさしさ
そして愛のように虚しさに満たされ
そこが海だとしても
歴史の溝が掘られている
秋を告げる声を聞き分けよ
名もない草に名もない虫がとまっている
終りのない他者の風が吹いている
右手の愛を左手は知らない〔ほか〕
著者等紹介
井上瑞貴[イノウエミズキ]
1955年、愛知県生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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内島菫
20
てのひらで掬い上げようとすると指の間からするすると零れ落ちる、そんな言葉たちを引き連れた詩集。意味や価値などにつかまってたまるかと、二重三重と否定を繰り返し、品詞を偽り主語を骨抜きにする。そんな肯定と否定の絶え間ない追いかけっこの隙間からときおりやさしい中洲が現れ、ほっと一息つくものの、その中洲は汐の満ち引きで常にしかし見えないほどわずかずつあらわれ流され、さっき一息ついたところとは別の場所になっている。2018/08/21
ATS
12
タイトルが気に入ったので衝動買い。好きな感じの詩で買ってよかった。詩は自由度が高いので無数に解釈ができる一方、それゆえに「なんのこっちゃ」となっていまいち面白味を感じにくいものもある。読み解き、そこまでいかなくとも感受するには能動性が必要でゆえに億劫になりがりなのかな。詩は概念化されるまえの実存や本質といったものを掬いだそうとする試みのようにも思える。小林秀雄の『美を求める心』に名前をつけてしまうと対象を観ることをやめてしまうことが書かれているがそれをぶち壊してくれるのが詩なのかもしれない。2023/12/13
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