目次
海と団地
念力教室
かぐや姫はヴァニラの香り
罰当たり三郎の青春
人魚が駄菓子をくれた日
宮崎の夜
日本怪奇紀行
気分はCITY POP
A MOVIE―大林宣彦監督に捧げる
笑うイルカ〔ほか〕
著者等紹介
笹公人[ササキミヒト]
1975年東京生まれ。「未来」選者。現代歌人協会理事。大正大学客員准教授。文化学院講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
254
これが笹公人の第4歌集であるようだ。私は、本書で初めて知った歌人だが、巻末のプロフィールを見ると現代歌人協会理事とあるので、短歌界では重要な位置にいるようだ。歌いぶりは、写生やリアリズムからは遠く、虚構を駆使してそこに歌の世界を展開するといった行き方である。それでいて、観念的に構えるのではなく、どこか洒脱で軽やかでもある。例えば「網駕籠に野菜盛られて居酒屋は邪馬台国の宴のごとし」。もう1首「弁慶が頭巾をほどく夕まぐれ顔だけ日焼けしてる弁慶」。飄々とし達観したかのような味わいの歌である。2024/06/04
kaizen@名古屋de朝活読書会
33
#笹公人 #短歌 病室の友の書棚で立ったまま狂っていたよ「ドグラ・マグラ」は #返歌 友が読む「ドグラ・マグラ」はノルマだし発見角川校正工ごと2017/01/13
かふ
19
そろそろ歌集を読む時期かと思ったが、短歌らしからぬ短歌で驚いている。こういう短歌は好きだった。NHK短歌の選者のときは単なる食い意地が張ったオヤジかと思っていたがこういう歌集を読むと偉さがわかる。カフカとかそういう世界なのだが、ここではアニメとすることで恐怖心を消しているのかもしれない、実際に全校生徒がダンダダダンと追いかけてくる夢はホラーだと思うがアニメ『ダンダダダン』を見ているような。「全校生徒が砂埃あげ俺を追うアニメの夢を見にけり」 「紫式部の腋の臭いを思いつつ黒板消しをはたいていたり」2025/05/25
まぁみ
13
現実離れした世界観が面白い!笹さんの頭の中ってどーなってるんだろ。ついて行くのがやっとこさな感じでした(笑)。日常のリアルを読む歌集が多い中、異色ながら確固たる世界観を持っているのは笹さんだけかも。念力三部作(1と3はそれぞれ第一歌集と第二歌集です。2は作品集ね♪)と第四歌集である本書、併せておすすめです!2023/10/16
qoop
9
マンガ的な突飛さは健在ながらその発想を日常と結びあわせることで一層の昇華を見せる。力業で無理やり合体させたとは感じさせない自然な繋がり具合で。なぜこの人が今まで視界に入らなかったのか。不明を恥じる。/愛犬の死の記憶など浮かばせて笑いこらえるポエムリーディング/三角縁神獣鏡を磨くのみ卑弥呼の家来の家来の一日/セキセイインコがガッツ星人に見えるまで酔いし夜あり追いつめられて/いい女、されどメアドのakachan-minagoroshi@に警戒してる西麻布の夜/小惑星爆発の図を念じつつ尿路結石ひとつ滅せり 2020/10/09