内容説明
膨大な手紙と資料発掘により明かされたオスカー・ワイルド夫妻の真実!時代は19世紀末の英国。天才の名を欲しいままにした希代の劇作家「オスカー・ワイルド」の美貌の妻コンスタンスは、オスカーの同性愛発覚と投獄によって奈落の底へ。ふたりの栄光の日々とその後の苦悩に満ちた生涯が心を打つ。
目次
両親の罪
ひどい悪趣味
ヒマワリとユリ
「バンソーンが花嫁をめとることに」
冷蔵庫の中のスミレ
情熱と無関心
文芸夫婦
「女性にはキスしないこと」
“Qui patitur vincit”「耐える者が勝つ」
私の愛するお母様
暗くて辛い森
現代のマーサ
非難の応酬
マダム・ホランド
人生とはあな恐ろしいもの
著者等紹介
モイル,フラニー[モイル,フラニー] [Moyle,Franny]
英イングランドの中央部にあたるミッドランド地方の生まれ。ケンブリッジ大学のセントジョンズカレッジで学ぶ。テレビ局でのドキュメント番組を手がける一方、ノンフィクションの作家活動などを続けている
那須省一[ナスショウイチ]
1954年宮崎県生まれ。宮崎大学卒業。元読売新聞社英字新聞部編集長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
25
「人のふり見て我が振り直せ」と言うが、フィクションである小説もまた“人のふり”がふんだんに書かれている。読者は主人公達の成功や失敗によって教訓を学ぶ。ならば、書いた作者はもちろん教訓が身体に沁み込んでいるのだから、失敗などしないはず。ところがそうではなかった。同性愛的嗜好のあった作家なら彼以外にもいるが、裁判沙汰になったのは彼くらいなものだ。ましてや人気絶頂で妻子もいた彼への風当たりは強い。後の行状から見るとてっきり仮面夫婦かと思われそうだが、コンスタンスとは恋愛結婚である。2020/10/06