目次
第1部(補陀落渡海;説教強盗;ジェイムズ・ティプトリー・Jr.忌;クラウン伍長 ほか)
第2部(妻となるひと;ミュンヘン;地球儀;ワインラベル ほか)
著者等紹介
斉藤真伸[サイトウマサノブ]
1971年山梨県生まれ。常磐大学人間科学部人間科学部社会学専攻卒業。1995年、当時の職場の同僚であった河野小百合に誘われ、「みぎわ短歌会」に入会。以降、「みぎわ」主宰である上野久雄に師事する。2004年、「みぎわ賞」受賞。2004年から2008年まで「未来短歌会」に所属(加藤治郎選歌欄「彗星集」)。2006年、「未来年間賞」受賞。2001年から「みぎわ」誌編集委員を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
89
ここに並ぶのは筋骨逞しく、重量感のある歌群である。「凍て空の流星群にまぎれつつクラウン伍長の火葬はつづく」―歌集の表題にもとられた歌だが、このクラウン伍長は『機動戦士ガンダム』の登場人物であるらしい。他にも映画や小説中の人物が多数踏まえられていたりする。極めつけは巻末の『大菩薩峠』讃歌だ。それらを自己に内在させる斉藤の歌は、存在の確かさを示す。思い切りのいい歌いぶりなのだ。歌風は「アララギ」系の先端に立つという印象。まったく似ていないようにも見えるが、その思い切りの良さは俵万智のそれを想わせもする。2013/12/29
kaizen@名古屋de朝活読書会
24
斉藤真伸 短歌 小雨ふる葉山の浜に眺めいるペットボトルの補陀落渡海 デニーズをひとつ過ぎれば夕暮れのすべての海は死者たちのもの 深海のコウモリイカの如くには光れぬゆえにあやふやに笑む いまはもう乾上がるを待つ水たまりその端を踏み餞別とする ヴァンという塩の湖には怪物が潜むと聞きぬけば安らぐ 軒先をつばくろ汚す梅雨の入り桃盗人(ピーチシーフ)の少女が通る 潮ににおう始発列車に担ぎ屋の老婆は籠にもたれて眠る 返歌 担ぎ屋の老婆は始発列車乗る潮騒混じる列車の騒音2016/12/14
あや
9
Kindleで繰り返し読んだ本を紙で再読する。サッカーを詠んだ歌が好きです。2021/08/14
はち
7
タイトルにあるクラウン伍長は機動戦士ガンダムに出てくるキャラクター。大気圏で燃え尽きた人ね。俺も言われてわかった。架空の人物をテーマに詠むのが上手い。これまた私の作風ではないがまだこっちなら真似できそうな気もしないでもない。2013/08/30
はち
6
再読。三年前の私がとんでもなく無礼な、かつ愚かなことを書いている。山梨の風土を、と言うと古臭くなりそうだが、SFやアニメ、小説の登場人物を駆使し詠んでいく。ほぼ触れられていないがサポーターとしての自らを詠む。まず間違いなくヴァンフォーレのサポーターだろう。また、第2部では妻との結婚生活や師匠の死を歌う。題材の取り方は実にユニークだが、歌い方そのものはアララギ的だと思う。タイトルに騙されてはいけない。2016/09/14
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- 和書
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