内容説明
没後100年のマーク・トウェインが遺した極上のミステリー。南北戦争前の米国。まだ奴隷制度があった中西部のミズーリ州で、白人と黒人奴隷の赤ん坊が故意に取り替えられ23年もの間、その事実は伏せられていた。しかし、ある殺人事件をきっかけにその衝撃の事実が明らかにされていく。
著者等紹介
トウェイン,マーク[トウェイン,マーク][Twain,Mark]
1835‐1910。本名サミュエル・ラングホーン・クレメンズ。米国作家。ミズーリ州出身。代表作に、『トム・ソーヤーの冒険』『ハックルベリー・フィンの冒険』などかある。12歳で父親の死亡などもあって学校に行けなくなり、印刷工となる。作品に大きな影響を及ぼすことになるミシシッピ川の水先案内人、新聞記者などを経て、作家になった後、出版社の経営に乗り出すが、多大の負債を抱え込む。この負債を償却する目的で、世界中で講演活動を行う
那須省一[ナスショウイチ]
1954年2月、宮崎県西都市生まれ。79年3月宮崎大学教育学部卒業、同年4月読売新聞東京本社入社。地方部、国際部、英字新聞部などで勤務。国際部時代には、87年~90年ナイロビ支局、93年~96年ロンドン支局でそれぞれ勤務。2004年3月から06年9月まで英字新聞部が発行するデイリー・ヨミウリの編集長、06年10月から10年3月まで西部本社編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
112
ガーディアン必読書に『ノータリンウィルソンの悲劇』として登録されている。見かけは白人でも1/32の黒人の血が混じれば「黒人」として奴隷売買の対象となるという州法のもと、故意に取り替えて白人として育てられた黒人の赤ん坊が成人して惹き起こす殺人事件を当時「はしり」であった指紋鑑定により暴くというストーリー。マークトゥエインはこれを大きく「奴隷問題」とする後年のストウ夫人の問題意識までに至らず、実の母親の奴隷女ロキシーによる「1/32制度」の悪用問題だとしており、ここが彼の限界かも知れないと思った。G1000。2023/08/21
NAO
57
マーク・トウェインは、推理小説仕立てのこの作品で、あまりにも不当な黒人差別を痛烈に批判し、風刺している。入れ替えられても誰にも全く気づかれないほど違いの分からない、白人領主の赤ん坊と黒人奴隷の子ども。この子達の差は何なのかと問いかけている。だが、この話では、奴隷の子でありながら領主の子として育てられたトムは、立派に育つことはなく、母親から自分の素性を明かされても、自分と母親の利益だけを考えて、破滅してしまう。こういった話の展開は、「やっぱり奴隷の子はちゃんとした育てられ方をしても、生れがでるじゃないか」2016/03/09
-
- 和書
- 生活学 4