内容説明
二十世紀前半の満州の荒野に忽然と現れた総合鉱工業都市・撫順。機械化が進んだ巨大な露天堀に加えて、油母頁岩からの石油製作・石炭液化・礬土頁岩からのアルミ・海綿鉄から特殊鋼製作などの大工場群は、当時の先端技術の結晶であった。現地撫順で少年時代を送った著者が、炭鉱・石炭関連コンビナート・理想都市の成長のプロセス、それに終戦後の困難な事情の一部始終を多数の資料によって検証。前作「満州の落陽」に引き続いて、隠れた日本近・現代史の一章を明らかにする。
目次
第1章 撫順の歴史―とくに明清交替期と日露戦争・奉天会戦期
第2章 炭鉱の成長―炭鉱長の足跡と重ねて
第3章 大連・満鉄中央試験所―先端コンビナート実現への基礎づくり
第4章 頁岩油―代表的な成功例
第5章 石炭液化―渇望された未完の技術
第6章 軽金属―大陸に輝いた白銀の光
第7章 特殊鋼―もうひとつの成功例・誇るべき成果
第8章 関連工業―発電所・機械工場・電気鉄道など
第9章 都市の建設と厚生施設―「理想都市」の出現
第10章 戦後の撫順―避難港として
第11章 進歩の跡を振り返って―大陸に開いた大輪の花
著者等紹介
未里周平[ミサトシュウヘイ]
本名:三田陽。昭和10年1月大連生まれ。昭和14年7月より昭和23年8月まで撫順に在住。山口県徳山高校卒業、応用物理学修士課程修了。電気会社研究所、大学に勤務。平成17年退職、以来現代史調査に従事。現在名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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