内容説明
これは認知症について何も知らなかったおさない頃の私の話です。認知症のことがもっとよくわかる「認知症の謎新聞」付き。
著者等紹介
藤川幸之助[フジカワコウノスケ]
詩人、児童文学作家。1962年熊本県生まれ。長崎大学教育学部大学院修士課程修了。日本児童文学者協会会員。小学校の教師を経て、詩作・文筆活動に専念。認知症の母親の介護体験をもとに命や認知症を題材にした作品を作り続ける。また、認知症の理解を深めるため全国各地で講演活動を行っている
寺田智恵[テラダチエ]
1984年長崎県生まれ。大学卒業後に詩のようなものを書きはじめる。詩に絵をつけたらおもしろいかなと絵も描くうち、言葉(詩)よりも無口なおしゃべり(絵)に惹かれる。現在は、自分なりの線を見つけようと切り絵に取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
64
絵本。こどもに伝える認知症シリーズ③表紙にも書かれていないので認知症の本だと気づかない。大声を出す、友だちのおばあちゃんを初めて見たぼくは「怪獣」とはやし立てて、友だちを悲しませてしまった。おばあちゃんは認知症で、ぼくのことを、小さい息子だと思いこんだ。ある日おばあちゃんが行方不明になり、ぼくは必死に探し回る。▽「一本の線をひいてしまうと、向こう側は自分と関係のない別の世界だと思うことがあるのです」▽巻末に「認知症の謎新聞」あり。認知症についてわかりやすい、読み聞かせ約7分。2020/11/06
とよぽん
51
絵本こどもに伝える認知症 全5巻の第3巻。日本には認知症の人が約600万人もいるそうだ。小学生だった主人公は、かすみちゃんのおばあちゃんによって身近に認知症の人を知ることとなった。理解や共感の大切さが子供に伝わるように作られた絵本だ。最後の文「かすみちゃんのおばあちゃんが私の心の中から一本の線を消してくれたのです」が、すがすがしい。自分と他の人との間に無意識のうちに線引きをしていないか、大人も振り返りたい絵本。2020/11/21
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
21
絵本こどもに伝える認知症全5巻のなかの1冊。「認知症 を 伝える」ではなく「認知症 で 伝える」と帯にありましたが、読んでみてなるほどでした。藤川幸之助さんの子どもの頃の思い出をもとにしたおはなし。冒頭の「1本の線をひくと~」で語られていることは、認知症だけではなく、いじめ・差別にも繋がることであり、とても深く感じました。認知症だけで言えば、この先益々増えるであろうこの病気、予防もそうですが、まずは知ることから始めようと思います。2020/12/15
遠い日
9
一本の線は非情なもの。あちらとこちらができてしまう。あちらとこちらは、「違う」という見方をしてしまうと、もうそこから進めなくなる。かすみちゃんの、認知症のおばあちゃんへの理解を少しずつ深めていくぼく。おばあちゃんは、人としてただ一生懸命にその時を生きているのだなぁと感じた時に、ぼくの一本の線は消えたのです。2021/07/05
ネジとサビ
9
認知症のことを絵本で伝えるって難しいだろうな。割と身近な認知症だから、私も何人かそういう人に接してきた。だからこそ思うけど違和感あるなぁ…。認知症を題材にしたもっと人間臭い話が聞きたいのかも。2020/12/08