内容説明
ナチの影響下で作られ、戦後1948年に優生思想を強化した「国民優性法」戦後に実行性をもった優生思想=強制不妊手術は、なぜ1996年の廃止まで続いたのか?少しずつ事件の記憶が薄くなる津久井やまゆり事件。―過去の誤りから学び、問題の根源を今こそ議論すべきと提起。
目次
1 障害者への強制不妊と優生思想(障害者への優生手術問題と国による賠償・救済の訴訟;保護者の抵抗と医師等、関係者の意識を問う―優生不妊手術は「やむ得なかった」ですむのか;宮城県の「愛の十万人運動」と優生思想)
2 津久井やまゆり園事件と優生思想(津久井やまゆり園事件での悲惨な大量殺人事件を考える―インクルーシブな社会を求めて;津久井やまゆり園事件と障害者「安楽殺」;ノーマリゼーション思想・障害者権利条約・津久井やまゆり園の「再生」)
著者等紹介
清水貞夫[シミズサダオ]
1940年東京都生まれ。1962年東京大学卒業、学校法人和光学園小・中学校教諭、1971年宮城教育大学に赴任、2004年宮城教育大学名誉教授、2007年民主教育をすすめる宮城の会代表などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆう。
32
津久井やまゆり園の障害者殺傷事件は、日本社会の根底にある差別思想と優生思想があることを突き付けた。国会議員からは生産性のない者の否定発言など、多様性と共生からは程遠い現実がある。優生思想を乗り越えて、インクルーシブな社会をどのように築けばいいのか。本著からの問題提起は重要だと思った。2020/02/22
マイケル
0
最近裁判によって問題が表面化した、旧優生保護法のもとで行われた強制不妊手術と、2016年に起きた障害者施設での殺傷事件は、全然別問題ではなく、共に「優生思想」が背景になっているという本書の著者の考えに同感です。優生思想というのは、本書の中で紹介している「障害者の安楽死計画とホロコースト:ナチスの忘れ去られた犯罪:(スザンヌ E・エヴァンス著」の、ナチス時代の過去の遺物ではなく、現代でも新型出生前診断やゲノム編集技術などや、コスト至上主義によって、水面下でじわじわ広がっていると思います。 2019/08/08
-
- 和書
- 庭は私の秘密基地