感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おくちゃん👶柳緑花紅
81
父を亡くし最後の別れの時に私達三姉妹は棺に縋って大泣きした。三年後今度は母を亡くした。私は足元が崩れ落ちたように糸の切れた凧のように心細くて震えた。初めて「喪失」を知った。ここでも三姉妹は身を寄せ合って泣いた。2世帯住宅で一緒に暮らしてくれていた二番目の姉が親の家を片付けてくれた。この作品を読んで姉の心、辛さ、大変さを知った。ゴメンお姉ちゃん。捨てる?差し上げる?売る?自分の家に持ち帰る?大量の物たちの分類。亡くなり住む人のいなくなった家の片付け。「喪に服す」試練に追い討ちをかける。2014/09/04
ぶんこ
52
フロイト研究の精神分析学者で一人っ子の著者が、唯一の相続人として親の一切合切を否応なく相続。両親共にナチスに囚われた重い過去を持ち、娘との間に壁を作ったまま逝ってしまった。単なる親の家の片づけではありませんでした。ナチスに財産を奪い取られたからか、両親は何もかもを残していた。読んでいるだけでも疲れるほど。私も父の死後、片づけの経験があり、母は父の時の経験から物を減らしていたものの、特養に入居後の片づけで私は苦労しただけに身につまされました。2019/04/30
とりあえず…
36
私は三人兄弟だけど、結局ただ一人の娘である私がこれやらないといけないのでしょうね。両親の思い、祖父母の思いの詰まった家を片づけることが出来るのか、まだ先のことではあるものの、気が重くてなりません。でも、この本を読んでいるうち、主人公の心の持ちようがある時から全く違ったものとなってきていることに気づきました。そう。それを乗り越え初めて親を見送ったことになるのかもしれません。大変だけど、そのひと時を大切に過ごせるようにしたいものです。2016/03/17
やどかり
29
フロイト派の精神分析者だけあって、自分の心と行動を分析されている。二親とも健在の私にはまだ想像がつかない部分もある。それまでの親との関係でも思いは違ってきそうだ。段階を経て、親の死を乗り越えていく様子が短く簡潔な文章で表されている。短い本なのになかなか読め終えられなかったのは、想像したくもない現実を見るのを心が拒絶したからかしら。2015/11/06
え
24
仕事で、亡くなった方の私物を片づけることがあります。年に何度も。箱に詰められていくのはキラキラとした宝物ばかりでは、ないですね。【もっと愛したかったという後悔。認められなかった、愛されなかった、そしてこれから先はいくら待っていても何も得られないという絶望感】こういう感情を抱えながら、途方に暮れながら、親の家を片づけるひともいるのでしょう。【私の墓の前で泣かないで。私はそこにはいない、死んではいないのだから。/「千の風(a thousand winds)」】伝えるべき人には伝わるうちに伝えましょう。愛を。2013/12/31