ハルムスの世界

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  • サイズ B6判/ページ数 238p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784863322554
  • NDC分類 983
  • Cコード C0097

内容説明

ナンセンスでアヴァンギャルドで滑稽で、ときに残酷―。スターリンの弾圧下で闇に葬られ、20世紀後半に再発見された作家ダニイル・ハルムス。彼が遺した数多くの作品の中から代表作『出来事』+38篇を収録した傑作短篇集。

目次

出来事
ハルムス傑作コレクション(ひとりの男がいた;交響曲第二番;親愛なるニカンドル・アンドレエヴィチ;ひとりのフランス人にソファがプレゼントされた…;プーシキンについて;四本足のカラス;眼に小石の刺さった、背の低い紳士が…;現象と存在について;あるエンジニア;スケッチ ほか)

著者等紹介

ハルムス,ダニイル[ハルムス,ダニイル][Хармс,Даниил]
1905年ペテルブルク生まれ。ロシア・アヴァンギャルドを代表する作家のひとりで、不条理文化の先駆者。1927年に詩人ヴヴェデンスキーらとともにオベリウ・グループを設立し、詩や戯曲など多彩なジャンルで前衛的・実験的な作品を発表した。スターリン政権下でアヴァンギャルド芸術が弾圧を受けるようになった後は、児童文学作品を執筆して糊口をしのぐ。1931年に逮捕され、一年間の流刑生活を送る。釈放後は発表のあてもないまま、不条理の感覚を前面に押し出した作品を数多く執筆する

増本浩子[マスモトヒロコ]
1960年生まれ。ドイツ文学研究者

グレチュコ,ヴァレリー[グレチュコ,ヴァレリー][Gretchko,Valerij]
1964年生まれ。ロシア文学研究者。ロシア・アヴァンギャルドに関する論考多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

紅はこべ

96
不条理なのにユーモアって新鮮。やたらに人が落ちる。それだけの話って締めが多い。他愛ない話のように見えて、何か深みが…この作家をソ連政府が恐れたというのは、意外とソ連は文学が読めた政府だったのかな。現在の日本の本を読めない政権と違って。2018/12/14

らぱん

53
破壊力に驚いた。新しい表現をするのに既存の技法では矛盾を含む。言語芸術では既知の言葉を使えないジレンマに陥る。そこでハルムスは意味を壊した。本作は意味を持たない67の掌編で、滑稽や諧謔、風刺や皮肉、思想や哲学などを見つけることはできるが、それに意味はない。 1905年ソ連に生まれダダイズムの影響を受けた前衛的作家だと知った。彼が志向したのは無意味ではなく超意味だろう。理知を超えた無意識による芸術の成立を模索しながら粛清の嵐の中で37歳で獄死した。 古い知覚を捨てずに新たな知覚を獲得することはできない。2019/02/21

Y2K☮

32
マヤコフスキーと同国同時代の作家を初読み。ドストエフスキーやチェーホフから得たロシア文学像が覆る。カフカよりも暴力的でよく人が死ぬ。その理由は、小田実「何でも見てやろう」で読んだインドで仏教が広まらなかった事情と重なる気がする。オーウェルのあれが悲観的な空想ではない事も理解した。あとジョン・レノン「LOVE」が俳句からヒントを得ているのは有名だが、今作では禅がそれに近い役割を果たしているかもしれない。論理は便利。だが万能に非ず。理由や意味も大事。でも切実な答えはシンプルな気づき。言葉を超越した直観の救い。2019/04/23

二戸・カルピンチョ

25
ハルムスの不条理は現実の不条理から生まれたのがよく分かる。人が不条理に居なくなる、帰ることはない。そんなスターリン政権下では、生きる意味も人間である意味も、何の意味もなく、存在も無いのと同じ。ここにいる自分は何、そこにいるあなたは何。何でも無い。何にも無い。それでも不条理は条理があるから不条理であるのではないか?条理と思っているものも、思っているだけで無意味なのだろうか。ハルムスの二人目の妻のエピソードも興味深い。引き込まれどっぷり浸かった読書だったのに、覚めると頭は空っぽだった。2021/10/16

Yusuke Oga

21
なにかよくわからないシュールな状況のもとで、展開も無く、2頁とかそのあたりで著者が思考をするのをさっさと放り出してしまい、なかば強制的に終了させてしまうかのような断片的で不可解なショート・ショートの数々・・・。このなかの世界ではよく老婆とか子供が景気よくポンポン死ぬし、人々はしょっちゅう殴りあいやら口喧嘩ばかりしているし、急に町のものたち全員が「数字の8と7、どっちが先にくるのかわからなくなった」りする。なんだかごちゃごちゃだが、これが書かれた当時、ソ連はスターリンの恐怖政治の真っ只中で、現実はもっと2014/06/28

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