内容説明
時代の移り変りの中で、チップス先生が守り続けた大切なものとは?英国のパブリック・スクールで教鞭をとる、懐しくも愛すべき老教師の姿を描いた不朽の名作を、流麗にして味わい深い新訳で。豊富な訳注とルビで、名作が読みやすく、より深くあなたの心に届きます。原本初版の挿絵つき。
著者等紹介
ヒルトン,ジェイムズ[ヒルトン,ジェイムズ] [Hilton,James]
1900‐54。イギリス生れの小説家。リーズ校およびケンブリッジ大学に学ぶ。大学在学中からアイリッシュ・インディペンデント紙やマンチェスター・ガーディアン紙などに寄稿。『失われた地平線』でホーソンデン賞、『チップス先生、さようなら』はベストセラーに。作品の映画化のために渡米し、のちにアメリカに帰化。映画『ミニヴァー夫人』でアカデミー脚色賞
大島一彦[オオシマカズヒコ]
昭和22年(1947年)茨城県生れ。早稲田大学文学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SOHSA
28
《kindle unlimited》有名な作品ではあるが今までに読むことのなかった1冊。ひとりの教師の半生が訥々と語られていく。イギリスの風景が行間から立ちのぼる。歳を経て来し方を振り返れば、私自身の人生もまた同じような感慨をもって見渡せるのだろうか。昔から繰り返し言われ続けていることではあるが、過ぎていった時はほんの一瞬だったように思えてならない。読後「チップス先生、さようなら」の声がいつまでもリフレインして止まない。やはり名作。2023/11/25
金吾
20
○何度か読んでいますが、静かな幸せな人生かなと思います。この本でイギリスのパブリックスクールをイメージしたことを思い出しました。ラストの部分が大好きです。2023/09/20
まこ
11
奥さんをはじめ、多くの人達に先を行かれたチップス先生。タイトルが先を行った人達からの言葉ならどれだけ言われてていたんだろう。先生にとっては平凡な教師人生の当たり前の挨拶として受け入れている。晩年の先生が1人になってこれまでの人生を回想すると、老いてからの教師生活の方が色々言われても楽しくやれたのだろうか2022/05/11
ぽけっとももんが
8
「ブルックフィールドが教えなければならないのは、何にも増してこのバランス感覚、良識ではないか」ブルックフィールドの名物教師チップス先生が教えるラテン語やギリシア語は、すでにその頃から実務的な学問ではなかった。儲かる学校経営を企む新校長に対して、チップス先生の主張は、まさに現代の「教育とは何か」という問題に対する答えでもある。今すぐ役に立つ知識ばかりではなく、一生使わないかもしれないけれども知っているだけで心が豊かになる、そんなことも必要だろう。学校は塾じゃないし、大学は就職養成所じゃないはずなんだけど。2016/08/27
Saint Gabriel
2
今の全世界の中高生にとって、アーサー・チッピング先生はどの様に写るのだろう。果たして人柄や教育方法は通じるのか?!2016/07/12