内容説明
そこを訪ねてみなければわからないことがある。忘れてはならない戦跡や被災地、公害・差別・事故現場で耳を澄ませる。現地の人々の声を写真とともに伝える渾身のルポ!!
目次
はじめに―訪れるべき“不謹慎”への誘い
1 天災・人災の記憶
2 喪失する産業の記憶
3 戦争の記憶
4 差別・抑圧の記憶
5 生命と悲しみの記憶
旅に出よう―あとがきに代えて
著者等紹介
木村聡[キムラサトル]
1965年生まれ。フォトジャーナリスト。新聞社勤務を経て94年よりフリーランス。国内外のドキュメンタリー取材を中心に活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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じゅん
11
これらの旅は不謹慎ではありません。かなり貴重で記憶に刻むべき地域が沢山紹介されていて、学ぶことが多かった。ベトナム奇跡のマングローブ、贅沢を禁じた新十津川村、藍生産のため無堤防政策を取った徳島藩、エジプトのリサイクル機関「豚の場所」、休暇ロシア軍艦笠戸丸、疎開してマラリア罹患した波照間島民、国内航空機が立ち入れない横田空域、国策アニメ海の神兵、8/15の皇居は静かだった、唯一の女人禁制大峰山、刑務所より酷い牛久入管、日本のアウシュビッツ「重監房」、日本のゲルニカ「明日の神話」、小◯漁民達による三閉伊一揆。2023/06/20
ターさん
4
最近よく「ダークツーリズム」という言葉を聞く。「人類の負の遺産」を訪ねる旅である。そういった遺産になる原因は、「天災・人災」「公害」「戦争」「差別・抑圧」などなど。けっして心躍るようなものではない。風光明媚な観光など望めないだろう。著者の言葉「行かなくてもわかることはある。行かなくちゃわからないこともある。もちろん行ってもわからないことだってある。でも、旅に行くことは、それだけで嬉しい」誰かが言っていたっけ。旅の醍醐味は“目から鱗”の体験にあると。ならば、これらの旅も十分価値ある旅といえるだろう。2022/12/18
マカロン
4
広島、長崎への修学旅行もある意味ダークツーリズム。沢山の不謹慎な旅の情報があるが、どれもこれもその後ろにある複雑な事情までは深く触れられず、社会問題の根深さに一つ一つたじろいでしまう。2022/07/17
林芳
3
「不謹慎」とは言えないと思うけれど。旅と見るかどうかだと思う。知りたい欲求があれば出かけたくなるものだから。ニュースで出てくる場所を実際に訪れることは、意味あることに思われる。2023/11/10
CBF
3
(★★★☆☆) そこを訪ねてみなければわからないことがある。忘れてはならない戦跡や被災地、公害・差別・事故現場で耳を澄ませる。現地の人々の声を写真とともに伝える渾身のルポー! まず興味を持って知ることが記憶継承の第一歩、という著書の言葉は本当にその通りと思う。一方で、例えばこの本にも出て来た恐山など、行ってみたい気持ちはあるけど、そんな興味本位ではそれこそ"不謹慎"では...とどうしても躊躇ってしまう。 『あらためて「観光」という言葉を見ると「光」を「観る」と書く。光あるところにできるのが影。』2022/09/21