内容説明
そこを訪ねてみなければわからないことがある。忘れてはならない戦跡や被災地、公害・差別・事故現場で耳を澄ませる。現地の人々の声を写真とともに伝える渾身のルポ!!
目次
はじめに―訪れるべき“不謹慎”への誘い
1 天災・人災の記憶
2 喪失する産業の記憶
3 戦争の記憶
4 差別・抑圧の記憶
5 生命と悲しみの記憶
旅に出よう―あとがきに代えて
著者等紹介
木村聡[キムラサトル]
1965年生まれ。フォトジャーナリスト。新聞社勤務を経て94年よりフリーランス。国内外のドキュメンタリー取材を中心に活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナクマ
31
負の記憶を巡るダークツーリズム。「不謹慎と言って封印する悲劇の中には、だれかの不都合や時代の不条理…がしのばされている」現場の肉声を聞けるルポは貴重なれど、ずっしり胃もたれ。◉「はっきりと二派に町が分断されていたのではなく、ひとりひとりの心の中で保存と解体がどっちも同じくらいあった」旧大槌町役場。「自分の人生は選択されたものじゃないけれど、なにかを伝えられることで無駄じゃなかった」長島愛生園。「古河がかろうじて煙突だけ残してくれた」足尾銅山。「俺たちならリサイクルできる」エジプト・ゴミ集積地・豚の場所。2023/11/21
shikada
11
風光明媚な土地ではなく、災害や衰退産業、戦争、差別といった負の記憶が残る土地をたずねる「不謹慎な旅」。東北の震災遺構、八ッ場ダム、エジプトのゴミ集積スラム、旧足尾銅山などさまざま。白黒の写真がかえって雄弁。人間の愚かさとか、自然の脅威を知るためにこの手のダークツーリズムは有効だと思う。自分自身、昨年に福島の震災・原発事故の爪痕が残る土地を旅した経験があったのでより没入して読めた。2025/02/08
じゅん
11
これらの旅は不謹慎ではありません。かなり貴重で記憶に刻むべき地域が沢山紹介されていて、学ぶことが多かった。ベトナム奇跡のマングローブ、贅沢を禁じた新十津川村、藍生産のため無堤防政策を取った徳島藩、エジプトのリサイクル機関「豚の場所」、休暇ロシア軍艦笠戸丸、疎開してマラリア罹患した波照間島民、国内航空機が立ち入れない横田空域、国策アニメ海の神兵、8/15の皇居は静かだった、唯一の女人禁制大峰山、刑務所より酷い牛久入管、日本のアウシュビッツ「重監房」、日本のゲルニカ「明日の神話」、小◯漁民達による三閉伊一揆。2023/06/20
エル
4
観光とは光を観る。光あるところには闇あり。ならば闇を見に行こう。ダークツーリズムへようこそ。忘れてはいけない場所、記憶。日本にもこんなにあるとは思わなかった。2024/12/15
林芳
4
「不謹慎」とは言えないと思うけれど。旅と見るかどうかだと思う。知りたい欲求があれば出かけたくなるものだから。ニュースで出てくる場所を実際に訪れることは、意味あることに思われる。2023/11/10