内容説明
柳田が描いた真の近代化への途を探る。近代化への煩悶と明治国家の再編を迎えた明治四十年代、その解決策を反近代的手法である民俗学に求めた。明治国家官僚にしてフィールドワーカー・柳田の柔軟性と多様性に富んだ学問と思想をたどる。
目次
1 明治国家官僚への途(柳田国男の少年体験;柳田国男の青年体験―抒情と屈折;明治国家官僚―「農」と「民俗」 ほか)
2 明治近代主義への懐疑―民俗への志向(明治近代主義への懐疑と批判;明治国家の再編運動―地方改良の理念;明治四十年代―柳田国男の思想と行動 ほか)
3 学問体系の樹立(モダニズムと柳田国男;自己認識の学―常民の思想)
近代日本思想史研究と柳田国男
著者等紹介
菊池清麿[キクチキヨマロ]
1960年生まれ。岩手県宮古市出身。明治大学政経学部政治学科卒。同大学大学院政治経済学研究科修了(修士)。音楽評論・歴史家。橋川文三に日本政治思想史、後藤総一郎に柳田国男の思想を学ぶ。柳田学の近代と反近代の諸問題をテーマに日本の近代大衆音楽の分野において、藤山一郎、中山晋平、古賀政男、服部良一、古関裕而などの人物評伝など著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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志村真幸
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著者は音楽評論・歴史家。流行歌、演歌、軍歌についての著作で知られる。 本書は、明治期の近代化に対して柳田国男がいかに対応/対抗したかを総覧した内容。少年・青年時代から、官僚時代の「農政」への関心の在り方へと分析を進め、さらにそれらがベースとなって近代化に抵抗する手段としての「民俗学」が進められていったと論じられている。 ただ、全体として論調に新しさが感じられず、また結論ありきで語っているために、あちこちに齟齬や矛盾が見られる。なにより連想による飛躍が多すぎて、論理展開に付いていくのが難しい。2022/05/23