出版社内容情報
イシュメールは捕鯨船ピークォード号に乗り組んだ。船長エイハブの片脚を奪った巨大な白いマッコウクジラ“モービィ・ディック”への復讐を胸に、様々な人種で構成された乗組員たちの、壮絶な航海が始まる!
内容説明
船乗りのイシュメールは、宿屋で意気投合した銛手クィークェグと共に捕鯨船ピークォド号に乗り組んだ。そこにいたのは用心深いスターバック、楽天家のスタッブ、好戦的なフラスクらの運転士や、銛手のタシテゴーとダッグー。そして、自分の片脚を奪った巨大なマッコウクジラ“モービィ・ディック”への復讐に燃える船長のエイハブ―。様々な人種で構成された乗組員たちの壮絶な航海を、規格外のスケールで描いた海洋冒険巨編!
著者等紹介
メルヴィル[メルヴィル] [Melville,Herman]
1819年生まれ、アメリカ・ニューヨーク出身。銀行事務員、小学校代用教員、捕鯨船での乗組員などの職業を経て、51年に代表作『白鯨』を完成させる。91年、死去
富田彬[トミタアキラ]
1897年生まれ、栃木県出身。米文学者、立教大学名誉教授。アメリカ文学研究の先駆者のひとりで、訳書に『ダロウェイ夫人』(角川文庫)などがある。1971年、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
45
新潮文庫で初読、再読。2015年756冊め。実際読んだのは旧(昭和31年版)の同じ富田訳だが2015年カドフェスのためこちらで登録。10年ほど前に新潮文庫の「田中訳」で読了しているが、なかなか話の展開がない上巻ゆえに読むのが苦しいのは変わらない。前回の反省を踏まえて、今回は旧約聖書をおさらいしてから読了。下巻は上巻の倍くらいするする読める(はずな)のでこのまま読み進めます。【G1000・11作め上巻】2015/07/06
ちぃ
34
冒頭の引用祭りで「あ、やばいのに手を出したかも?」と思ってしまったのですが、面白かったです。水夫として船旅する人たちって血気盛んな男性ばかりなので言うことなすこといちいちワイルドです。それでいて、やっぱり恐るべき自然を前にぼーっと過ごす時間も多いから非常に思索にも富んでいる。海の男かっこいいなぁ!船長など目的に向かいまっすぐ突き進む人物が印象的ですが、女はある意味器用なんでこうはならない。序盤の蛤の寄せ鍋がおいしそうすぎる。神聖で凶暴で恵みをもたらす鯨が海を背負ってくる感じもたまらない。下巻も楽しみ。2016/10/11
おにく
24
岩波文庫版は上中下巻という大ボリュームと美しい挿絵が挿入されて、とても惹かれたのですが、鯨学の知識が多い岩波版より純粋に物語を楽しみたいと、こちらを選びました。前半は語り手のイシュメイルが、木賃宿で知り合ったクィーグェグと共に捕鯨船ピークォド号に乗り込み、出航後、船長エイハブが抹香鯨のモビィ・ディックに対する復讐に燃えている事を伝えられます。それを聞いて高揚する者、それを諭す者も出てきますが、そんな思惑とは裏腹に海洋を進むピークォド号。想像と神話が色濃く残る19世紀の海洋叙事詩。後編も楽しみです。2016/02/16
えいなえいな
18
前々から読みたいと思っていたのですが予想以上の分厚さで及び腰でした。読んでみると勢いのある文体でどんどん読み進めてしまいます。前巻はまだまだ導入といった感じなので下巻が気になります。ところでスターバックスの名前の由来が副船長のスターバックさんというのも読みたいと思っていた理由なんですが、船長ではなく副船長の名前をつける辺りがセンスがあるな、と読んでみて感心してしまいました。2020/04/14
ぱなま(さなぎ)
12
百科事典みたいな冒険小説。といっても、471ページかけてまだ出発して間もない。とりつかれたように鯨について、捕鯨について、背景を語り尽くそうとし、入り組んだり視点が替わったりする文体に時折辟易しそうになるけれど、漠然と先の見えない、来る日も来る日も同じ風景の続く遠洋への航海を語るには、こうした語り口しかないのかもしれないとも思う。夜に鯨の汐噴きを描写した場面は美しかった。2015/08/11