内容説明
400年間変わらなかった信仰。かくれキリシタン信者は、宣教師がいなくなったことで、それまで伝えてきたキリシタン信仰の形を、忠実に継承することしかできなかった…。長崎・平戸とヨーロッパを結ぶ信仰の軌跡。
目次
1 平戸のキリシタン史の概要(海の道の中継地・平戸;大洋路がもたらした宗教・信仰;キリシタン時代の到来;イエズス会の過激な布教活動;松浦氏とイエズス会の確執;伴天連追放令と禁教の時代;生月の信者の経済活動)
2 かくれキリシタンの信仰とは何か(かくれキリシタン信仰における二つの系統;かくれキリシタン信者の信仰の様相;信仰並存という捉え方)
3 かくれキリシタン信仰の要素の検証(信仰のための組織;信仰対象の検証;かくれキリシタンの年中行事;かくれキリシタンの祈り、オラショ;歌われるオラショ;外海・浦上系かくれキリシタン信仰)
著者等紹介
中園成生[ナカゾノシゲオ]
1963年福岡県生まれ。平戸市生月町博物館・島の館学芸員。熊本大学文学部(民俗学)卒業。佐賀県呼子町在職中に捕鯨史研究に取り組み、生月町(現平戸市)転職後、かくれキリシタン信仰の調査・研究にも取り組んでいる。主な論文・著作は『鯨取り絵物語』(共著、弦書房、2009、第23回地方出版文化功労賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かおりんご
27
かくれキリシタンは、自分たちで教義を変えたのではなく、どこを変えたらよいか分からないから、祖先からの教えを守り抜いただけという考え方がすとんと落ちた。信仰していた人たちは貧しい方ばかりだから、文字ではなく、口伝で継承されてきた教え。その中で、多少なりとは変化はあったかもしれないけれど、受け継がれてきたのだと思う。生月の話が中心だったのもよかった。2020/01/07
しゅん
6
構造的・論理的に理解できているから信仰形態の伝統が変わらないのではなく、知識として理解できてないからこそ、形態が残っていく。2020/09/09
星火
2
かくれキリシタンは混合宗教ではなく、複数の宗教の並存という説に納得。2016/03/02
有坂汀
0
苛烈を極めた弾圧にも関わらず、現在に至るまで変わらなかった信仰—本書はかくれキリシタン信仰の歴史とその真の姿を追ったフィールドワークを纏めたブックレットです。長崎・平戸とヨーロッパを結ぶ信仰の軌跡。本書の中ではかくれキリシタンの祈りである「オラショ」についての言及がメインなのですが、その分布や信仰生活の在り方、さらには神道、仏教、さらに禁教令が解かれてから普及したカトリックなどに至るまで、現地に根付くさまざまな他宗教との「共存」などにも言及されており、かくれキリシタンへの理解にとても役立つなと感じました。2024/10/14