内容説明
怖ろしさと懐かしさ。ああ。そこに伏せて、立つもならず、座るもならず、風にふかれるときの気持ちはどんなものか。独特の語り口で「人間」を描く作家の眼に世界はどう広がっているのだろう…待望のエッセイ集。
目次
1 子どもの頃、そして祖母のこと
2 作品
3 旅と写真
4 本と人
5 絵画
6 癖
7 地球
8 この世ランドの眺め
著者等紹介
村田喜代子[ムラタキヨコ]
1945年、福岡県北九州市八幡生まれ。1985年、自身のタイプ印刷による個人文芸誌「発表」を創刊。1987年『鍋の中』で芥川賞を受賞。1990年『白い山』で女流文学賞、1992年『真夜中の自転車』で平林たい子賞、1998年『望潮』で川端康成賞、1999年『龍秘御天歌』で芸術選奨文部大臣賞、2010年『故郷のわが家』で野間文芸賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
14
村田喜代子さんの小説を読んでいると、何気ない生活を描いているような場面でも不穏な気配を感じてドキドキすることがあるけれど、エッセイを読んでいるとその理由がわかった気がする。日常の不穏。2022/07/03
kiho
14
印象深いタイトル⭐そして村田さん本人の感性が詰まったエッセイはどれも面白く感じてしまう…例え苦難の様子がえがかれていようとも。どんな事も自分の目線でしっかり見つめている所が素敵♪2015/04/01
あ げ こ
6
村田喜代子の作り出す世界は美味しい。例え苦難を料理していても、切羽詰まった状況だからこそ生まれるおかしみまで、忘れずに加えてくれる。そんな村田喜代子が眺める世界、幾つもの世界を生み出してきたそこもまたやはり、食べると美味しいのである。現実を生き、口にする感情もいたって素朴なものであるはずなのに、地に足がついていないような、ふわふわと浮いているような印象を受けるのが可笑しい。そして随所に漂うその独特の発想。これがまた堪らない面白さ!こみ上げてくるものはそれこそ、笑いと、作者に対する好ましさばかりであった。2014/03/18
紅独歩
3
村田喜代子の書くものは、私にとって全て怪談だ。このエッセイもしかり、ケーブルカーに乗って天国へ向かう老人達(それは便壷の中の蛆虫のイメージにも重なる)、冥界の客で溢れるお盆の座敷、道端で動物の死骸をみつけたら唱える「うんがせい!」という呪文、そして三島由紀夫に関する福島次郎と沼正三の「実話」。震え上がり、笑い(上等な怪談はユーモラスなものだ)、満足する。そして、次の一冊に手が伸びる。2011/06/13
クリフトン
1
小説とエッセイで別の世界をみせる作家さんもあれば その裏表をみせてくれる作家さんもいる 大好きな「屋根屋」「楽園-光線に収録-」に纏わる逸話が読めるのは嬉しいこと 「犬になった日」はみればみる程不思議な絵 奥山民枝さんを知ることが出来たのも嬉しいことだった2015/06/29