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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yyrn
8
以前NHKの「日曜美術館」で画家・吉田博の特集をやっていて、一目でその木版画のとりこになり、図書館で探して読んでみた本。私は「日曜美術館」のようにそれぞれの木版画の作品解説を期待したが、本書は吉田博の生い立ちや画家としての活動の軌跡を追いかける伝記的な内容で、おかげでこんな凄い絵を描くのにどうして日本では知られなかったのか(欧米で高く評価されたらしいのに)?という疑問は解けた。権威になびかず山や水面の美しさだけを追求した画家だったのだな。ぜひ多くの皆さんにYouTubeでその凄さを体感してもらいたい。2017/03/11
trazom
5
私は、吉田博さんの木版画が大好きだ。吉田博さんは、安永幸一さんが見出した画家と言えるから、この本は吉田博評伝の決定版である。水彩、油彩、版画へと対象を変化させてゆく博の人生が綴られる。また、同じ版木による色変え摺りの技法によって多様な時間帯の各々の光の表情を細かく摺り分けた手法が、モネが、同じ題材で、太陽の光が刻々と変わる変化を描き分けた印象派の手法と共通すると指摘している。日本の古い伝統を持つ木版画に西洋の新しい視点を導入した博の木版画だからこそ、フロイトやダイアナ妃の書斎を飾る人気となったのだろう。2016/08/06
美幸
4
大好きな明治期の画家のひとり。楽しく読めました。この時代は誰もがみな篤く一途。山岳画家として、また版画家として最高に素晴らしい。いままで博氏ばかりを見ていたけど、奥様のふじをさんのも拝見してみたいなぁ。2021/09/30
100名山
1
展覧会の時何気なく求めた一冊でしたが、非常に面白く読めた評伝でした。 「自分の体を日本から出す。」という発想で親友と二人でアメリカに渡り、デトロイト美術館館長に認められ、個展で作品を売りさばき、次の旅費に充てヨーロッパまで渡る。 私は山岳風景版画としか知らなかったが、反骨精神旺盛な人だと知りました。 肝心の喜作との交流などは資料が希薄だったせいか、頁が割かれず、物足りなかった。 2017/11/28
ちょーのすけ
1
2年ほど前のMOA美術館で。その名を全く知らなかった吉田博という画家の版画の美しさに目を奪われた。その人の評伝があることを知り、絵を見られるだけでいいやと思って購入。著者の文章も吉田博の生き方も美しかった。大いに満足。2010/02/02