感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
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1834〜69年寄稿集。早々に報道記者からジャーナリズムへの傾倒が見られ、『トゥーティングの楽園』『風紀紊乱と絶対禁酒』に早熟が伺える。同時に娯楽的創意も発揮される点も重要。これらは50年代の"酩酊"社会への痛烈な風刺論考や執筆作の形で結実する。『家無き女のための「憩いの場」』は魅力的なドキュメンタリーだし、『ロンドンの一夜景』は悍ましい。『北極探検隊員』の帰結やドリット期の論考に注目すると、文明発展と自意識過剰と島国根性と習慣統制の相乗効果が如何にグロテスクな未来像を齎すかの警鐘が現代日本に当てはまる。2023/10/20