内容説明
授業で扱われる「テクスト」が学習者と教師によって再構築され、どのように社会性・政治性を踏まえた実践となっていくのか、教材と教育現場の実情を論究する。
目次
文学教材論の転回(文学教材論の前提―三つの「サーカス」に触れながら;欲望と他者―ヘルマン=ヘッセ「少年の日の思い出」への視点;他者のいない言葉―木下順二「夕鶴」論;「夕鶴」の受容と「戦後」;「教える」ことの差別―魯迅「故郷」の言説をめぐって;教科書が生み出す「鴎外」―「舞姫」の位置を中心に)
「読むこと」の社会性・政治性をめぐって(「読むこと」の知的領野―説明文・評論教材を中心に;文学教材のジェンダー・ポリティクス―名木田恵子「赤い実はじけた」・三田誠広「いちご同盟」を中心に;「平和教材」の物語規範;学ぶことと読むことの間―「戦争を語ることば」の教材化から;ナウシカはなぜ空を飛ぶのか―ポップカルチャーと戦争の表象)
国語教育・教科書・教材をめぐる状況―一九九七年~二〇〇七年(文学教育からの解放―中学・高校国語教室における「文学」の定位;国語教育研究の歴史認識―忘却される戦争、その他;「国語」と表象の政治;従順な身体;コミュニケーション能力と国語教育―あるいは、「伝え合う」というイデオロギーをめぐって;詩と教室;教育を語ることの病;「日本語」という情念装置;検定教科書というメディア;教育の場に要請される「社会性」とは何か;リテラシー概念の変容)