内容説明
日本の自然保護運動の聖地・知床百平方メートル運動地。そこで遠くない昔、羅臼おろしの下で開拓に汗と涙を流した人々がいた。知られざる知床開拓の歴史を描く。知床の原始の森に挑んだ開拓者の苦闘。
目次
第1章 戦前から始まった知床岩尾別開拓
第2章 戦後開拓とは何か
第3章 岩尾別離農地を訪ねる
第4章 岩尾別開拓者斎藤平三さんの記録
第5章 知床開拓民の姿―ある学術調査報告書
第6章 知床一〇〇平方メートル運動
著者等紹介
菊地慶一[キクチケイイチ]
1932(昭和7)年旭川市に生まれる。釧路で育ち13歳の時釧路空襲を体験する。戦後網走管内の小学校、高等学校に勤務。1969(昭和44)年より網走在住。1973(昭和48)年「白いオホーツク―流氷の海の記録」を出版、以後執筆活動に入る。児童文学、流氷、地方史など著書多数。網走歴史の会代表、日本児童文学者協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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odmy
1
知床の岩尾別という、農業にまったく向いてない土地に入植した人たちの記録をまとめたもの。戦前から戦後にかけ3回も開拓が行われ、3回とも全戸離農という悲惨な結果に終わっている。初回の時点で農業ができる土地でないのは明らかだったのに学習しない政府が開拓を推し進めたということなので、これは完全に人災だと思う。グーグルアースで跡地を見てみると妙に人工的な感じに木々がならんでいて、なんだか痛々しい。知床のダークサイドを見てしまった感じ。2023/07/25
ビーグルの匂い
1
不覚にも歴史を知らずにその土地を訪れた。愚かだった。 再度また訪れたいと強く思った。2019/04/11
羽毛
0
梨木香歩「渡りの足跡」経由。聞き語りの部分で「経験した者でなければ分からない」という表現が何度も出てくるが、確かに「壮絶」としか言いようがない。どうかしたら祖父母が行っていた可能性もなくはないし、当時の農村部はこれほどでなくともどこも過酷であったと思う。たかだか5,60年前はただ生きることに必死な時代だったのだなあ。「渡りの足跡」は知床開拓の陽の部分にフィーチャーしており、聞き手がそこに何を視ようとするかでまた違った面もあるのだろう。2013/08/26
さっと
0
いささか著者の鼻息の荒さが気になるが、興味深く読めた。2010/01/24