内容説明
田中正造は、谷中の戦いの中で、己れの生をキリスト教の信仰に委ね、現実にしっかり足を据えて神の道=人の道を歩むのであるが、それは宗教的人間になることではなく、「人間になる」ことであった。彼のまなざしは、この世が進歩と力と未来を夢みる中で、しっかと終末と裁きを見据えていた。彼は、死の直前、“大雨にうたれたゝかれ重荷挽く 牛の車の跡かたもなし”と、自分の戦いの生涯を歌に表しているが、しかし今日、彼の戦いの跡は鮮やかに甦り、比類なく現代的意義をもって我々に迫まってくる。死に瀕した田中正造の最後の祈りは、「現在を救い給へ、現在を救い給へ、ありのままを救い給へ」であった。
目次
第1章 名主時代(小中村に生を受ける;若き名主 ほか)
第2章 江刺県花輪時代(東京への旅立ち;江刺県の小官吏として ほか)
第3章 栃木県会議員時代(待望の時;政治への発心 ほか)
第4章 衆議院議員時代(国政の舞台へ;鉱毒問題との出会い ほか)
第5章 谷中村時代(直訴のあと;聖書との出会い ほか)
著者等紹介
石田健[イシダツヨシ]
1945年樺太(現サハリン)に生まれる。2017年引退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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