出版社内容情報
未来学者エイミー・ウェブと合成生物学のパイオニアであるアンドリュー・ヘッセルが、「生体をプログラミングする」合成生物学の限りない可能性について解説した書。
合成生物学は、これまでのCRISPR(クリスパー)のようにDNA配列を読み取って編集するだけの技術ではなく、コンピューター上でDNA配列をプログラミングし、さまざまな新しい機能を持った細胞、微生物、植物、動物を生み出すことのできる、画期的な技術である。
通常の数分の1の資源で数百万人を養える屋内栽培可能な植物や、注射を必要としない合成インスリン、培養臓器移植を使った再生医療、高度な個別化医療などの研究が進められており、気候変動、資源枯渇、医療費増大など人類が直面している数々の問題を解決する可能性を秘めている。同時に、合成生物学の普及で、持てる者と持たざる者への社会の分断がさらに進み、破滅的な未来をもたらしかねないという危惧もある。
本書では、合成生物学が何を可能にし、人類に何をもたらすのかを具体的に示しながら、その倫理的・道徳的・宗教的問題を予測する。老化防止医療が発展し100歳まで若さが維持できるとしたら、社会構造はどう変わるのか。病気と闘うために新しいウイルスをプログラムすることは許されるのか。合成生物学が未来社会にもたらす光と影を、豊富な事例に触れながら解説していく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
原玉幸子
16
更に進んだ合成生物学。生殖医療や遺伝子組換え動植物等への法的判断や国家理念、どの事例をどの側面から考えるかで見方も価値評価も変わりますので、深く思考するなら、他の類書を読むよりもシントピカルな読書力が必要でしょう。(たまたまですが、今期の前半は読む本が繋がりました。)本の厚み・分量を米国の出版事情に合わせたのかも知れませんが、理解を深める為に読者の想像を掻き立てるべくSF風に描いたパート3のシナリオ1~5は、丸々要らない気がします。或る意味、構成で損をしていて勿体無い。(◎2023年・春)2023/02/04
スズコ(梵我一如、一なる生命)
13
一時期は食品安全の分野で合成生物学を駆使した食品を知る機会があったのが、このように全貌を見ることはなかった。生命の定義を変えるのだから、確かにこれはインターネットどころではない革新がもたらされるし、日本はもはやプロ二流国でしかないから、米国見ながら枠組みを取り入れてくしかないのだろう。けど、中国の存在ヤバすぎです。私の子供達が大人として生きる時代は全く別の世界になっているんだろうなぁ。子供が好きだから生きていたいけど、見るのが怖過ぎる未来の予感しかない。もっと多くの日本人に世界の中で生きて欲しい。2023/02/07
アルミの鉄鍋
4
★4 壮大の一言。遺伝子的に強い人類作った後は映画、ガタカみたいな世界になるのかなと思った。地球資源は有限。最強遺伝子を持つ人類が増える事はいい事なのか。宗教と絡んで地政学的に色々起こりそうな予感。面白かった。2023/01/09
Mike
2
合成生物学全般に記載されているが、内容の割には冗長。米国では合成生物学のスタートアップは破産が相次いでおり、合成生物学のブームが終わりつつある様相。2023/09/02
takao
1
ふむ2023/05/21