出版社内容情報
数千年の昔、当時の男性優位の社会制度をものともせずに、女性がたびたび支配者となり権力を握っていた国があった。古代エジプトである。本書は、「神の権化であるエジプトの王」として国を支配していた6人の女性――メルネイト、ネフェルソベク、ハトシェプスト、ネフェルティティ、タウセレトそしてクレオパトラの生涯と、その歴史的背景を、美しい写真とイラスト、精密な歴史地図などによって詳しく解説する。
この6人の女王たちは、男性を陰で操る者としてではなく、純然たる国家の長として最大の権力を行使した。いずれもはじめは王妃、すなわち夫である王の配偶者にすぎなかったのだが、やがて数奇な運命をたどるなかで国の中心的な意思決定者となり、うち5人はまごうことなき王となった。栄枯盛衰が繰り返された3000年のエジプト史を通じて、彼女たちは正真正銘の「ウーマンパワー」を行使していた。そのドラマチックな物語を理解するために、本書はエジプトの女王のひとりひとりの生涯と人物像を精緻に描いている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いくら丼
6
第1王朝のメルネイトから、古代エジプトの最後を飾るクレオパトラまで……という訳で、「最初から最後まで」、大きな「古代エジプト」に満足感。第18王朝の女性が二人いるし、古王国や末期王朝の女性も登場しない訳ですが、絶妙なバランスがあった気がする。変革と動乱の時代こそ女性(異端)が活躍できたのもあるかも。ただ前提とされる知識が自分に薄く、何となくもやっとするところも。まあ困らず読める程度でしたが、ローマ時代とか知らないからね、改めて「知りたい」と思えました。時代も長いだけあって、色々と繋がるからね、罪だね……。2022/02/14
Huuro
2
オールカラーの遺跡やまつわる絵画を見ながら古代エジプト女王を知ることができて楽しかった。クレオパトラって沢山の子供を産んでいるのね~! 近親婚を繰り返した王朝のイメージだったので、思ったより丈夫で健康な人だったんだなあと印象が変わった。2022/04/29
弥都
0
古代エジプトを支配した6人の女王たちの記録。古代エジプトの王家の内情はそれはそれは泥々なものだったらしい。一族の血に拘り権力争いも絶えず。有能な指導者や人材がいて、古代とは信じ難い文明があったにも関わらず痛ましい結末となった王たちも少なくない。とはいえ、名高いクレオパトラ王の死後、ローマ帝国に征服され大帝国の一部となる訳だけど、3000年にも渡り王朝が存続したのは凄まじい国家力。高い政治能力や文明だけではない気がするが、あとは未知の領域である。2024/11/28