内容説明
なぜ日本の漁業が「崩壊」してしまうのか。それは、あなたにも一因がある…と言ったら、驚きますか?2015年「シーフードチャンピオン」が提言する「世界ひとり負け」脱却の方策。
目次
第1章 知られざる日本と世界の漁業の実態(日本の魚はどこへいった?;魚が減るとどうなる?;世界の漁業のいま;魚の獲り方あれこれ)
第2章 徹底討論。魚を守るなら、いましかない
第3章 世界の成功例から具体的な政策を考える(日本の水産業を復活させるには戦略が必要だ;資源管理の本丸、漁獲枠と個別割当制度導入のための戦略;資源管理戦略 どうやって管理するのか?採算は合うのか?;海外からの協力を得るための戦略;魚を通じての近隣国との共存戦略;日本の魚の輸出戦略;かしこい補助金戦略)
著者等紹介
片野歩[カタノアユム]
東京生まれ。早稲田大学卒。1990年から北欧を中心に、最前線で水産物の買付業務に携わる。特にノルウェーには20年以上、毎年訪問を続けてきた。2015年、水産物の持続可能性(サステナビリティー)を議論する国際会議「シーフードサミット」で、日本人初の最優秀賞「シーフードチャンピオン」を政策提言(アドボカシー)部門で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Sakie
18
これも日本ジリ貧案件。水産物生産量は世界では増えており、日本では減っている。魚種によって事情が違うし、外国との兼ね合いもあるが、主因は日本が科学的根拠に基づく分析・管理できずに乱獲する点である。例えば2011年の震災後、三陸沖の魚は増えた。人間が獲らなければ魚は繁殖し増える。しかしそれを豊漁と根こそぎ獲ってしまえば元の魚の減った海に戻るわけで。ならば養殖すればよいかといえば餌は高騰の一途。輸入すればよいかといえば円安で日本は買い負けし始めており、回転寿司屋が立ち行かなくなるのも時間の問題と予測してみる。2022/12/19
こぺたろう
8
海外と日本の漁業構造の違いを、わかりやすく比較しています。日本も海外の成功事例に学び、構造改革をすべしという内容ですが、これは私が学生の頃から議論されている話です。もう10年以上検討されている課題になっていますが、世界で日本だけ漁業が衰退、という構図は変わっていませんね。収益納付(P196)のアイデアは面白いと思いました。日本の漁業は長いこと崖っぷちにいる感じですが、現場はいよいよ厳しくなっています。2018/09/30
ビッグマックツトム
6
日本と漁業先進国で漁業の状態について単純比較してあり、大変わかりやすかった。 温暖化による海水温上昇は、世界中の海で起こっていることだが、そんな状況でも漁業先進国は、資源管理がしっかり機能して資源量が維持されている。 日本の漁業は、目先きの利益ばかりで資源を持続的に利用する考えがなく、獲れなくなったら国が補償で赤字を穴埋めするなど廃退しまくっている。 漁業先進国の常識が日本でも浸透し、漁師も漁協も行政も消費者も一帯となったしくみで、資源が永久に続き 儲かる漁業へ構造改革出来たらいいのになーと思った。 2024/02/20
警蓮社峻譽身阿
5
漁獲量の減少は環境のせいではなく無計画な乱獲が原因で、漁業振興国は漁獲枠を国際的かつ経済的に運用して資源の増減をコントロールしている。日本は漁場に恵まれているが故に奔放な管理しかしておらず、これでは漁獲量減少どころか資源の枯渇を止められない、という政策提言本。 新聞やニュースで定期的に「漁獲量が減少」といった記事は見ていたが、どこか他人事で、食卓に並べる魚と結びつくことはなかった。反省。 ノルウェーの漁師の仕事満足度は99%とのこと。漁業をそんないい仕事に昇華してほしい。2019/08/27
西澤 隆
4
どうすればいいかの処方箋はある。ただ、誰かが率先してはじめてもそれ以外のひとが獲ってしまえばかわらない。みんなが結託して対応を行う必要がある。調整するのは大変。トップダウンでやるとなると、おそらく漁協も与党の支持母体であるだけに不人気政策でハードルは高い。いろんな場所で語られる「岩盤既存権益」破壊を伴う変化をどう実現するかは日本のあちこちの分野の今後のためには重要なポイントなのだろうなとあらためて思う。それにしても本書で語られている「円安」のレベルは110円程度。今はもっと「買い負けている」んだろうなあ。2024/10/03
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