内容説明
古代から現代をつらぬく日本人の精神史を探求し続けてきた中西進が、すべての日本人に贈る珠玉のエッセイ「日本人の忘れもの」シリーズの完結編。
目次
第1章 生きる(なつかしさ―「なつかしさ」を大切にする必要;みたて―「つもり」になることの大きな効用;るす―現代生活は息苦しくないか ほか)
第2章 慈しむ(まるた―内在するものを透視する力を持ちたい;つぼにわ―住まいに「坪庭」のアイデアを生かそう;こもの―小物を大切にする精神 ほか)
第3章 繋がる(みやげ―そもそも、みやげ物はテキストだった;うきよ―空想や浮世の大事さを思い返そう;いんが―この世の因果を忘れてはいけない ほか)
著者等紹介
中西進[ナカニシススム]
奈良県立万葉文化館長。文学博士、文化功労者。日本文化、精神史の研究・評論活動で知られる。日本学士院賞、大佛次郎賞、読売文学賞、和辻哲郎文化賞、奈良テレビ放送文化賞ほか受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひよピパパ
10
なじみ深い言葉を軸に、含蓄のある文章で日本人とは何か、日本語とは何かを考えさせてくれる中西先生のエッセー集。 「じょうちょ」では大数学者岡潔が「日本人は情の人」だと名言しているのには驚きだった。「一番根源的なところに経験を作り上げるものとしての情が存在する人間」それが日本人なのだという。また、言葉については、「『はれ』と『け』」において「穢れ」とは「ケ(気)ガ(離)レ」のことで、良い気が少なく悪しき状況を言い、それを回復させるのが「禊ぎ」なのだと述べられる。とても勉強になる一書だ。2020/06/12
れいまん
2
ついに三冊目。新幹線グリーン車にあるウェッジ(今はひととき)に連載され大人気の中西先生のコラム 三も、大いなる言葉の知的刺激を受けた。 近代日本の建前主義、教条主義そして営営とした努力。それが人間の本音を忘れたものだったことに彼は静かなる怒りを抑えることは出来なかった 彼とは漱石。2021/08/05
はまい
1
娘さんの話がグッと来た。静かなる抗議。2018/10/07