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内容説明
土葬をしたいイスラム移民VS困惑する地元住民。いったい、この日本で土葬をしてもいいのか!?イスラム移民、伝統的神葬祭、新しい葬送の形…、気鋭のジャーナリストが5年かけて取材した珠玉のルポ、待望の増補版。
目次
第1章 大分県イスラム土葬墓地問題
第2章 ムスリムが土葬を望むわけ
第3章 日本の「伝統」としての土葬
第4章 土葬に必要な手続きとお金
第5章 それでも反対する人々の心理
増補第1章 成功していた土葬墓地
増補第2章 ドキュメント・日出町長選挙
著者等紹介
鈴木貫太郎[スズキカンタロウ]
1981年、東京都生まれ。東京電力退社後、アメリカ・オハイオ州の大学を卒業。早稲田大学ジャーナリズム大学院修了。米ニューヨーク・タイムズ東京支局、フィリピンの邦字新聞・日刊まにら新聞勤務を経て、現在フリーランス記者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アメヲトコ
9
2023年旧版、25年3月増補版。大分県日出町におけるムスリム土葬墓地建設問題を皮切りに、日本における土葬について取材したルポです。土葬の法的位置づけ(条例マター)やムスリムとキリスト教会や仏教寺院との協力関係、土葬での神葬祭の実態など知らなかったことが多く目を啓かれました。土葬問題はともすると多様性対排外主義という文脈で語られがちですが、そうした分かりやすい(=分断的)スタンスを避け、反対する側の感情の機微にまで踏み込む著者の誠実さに好感が持てます。第5章や増補第1章などはとくに必読。2025/10/18
293
4
日出町のムスリム土葬墓地問題の解決案の提示も反対住民の理解も前進しているように感じた。しかし、それでも難しい問題だと感じた。小さな歯車の噛み合わせの悪さによって、少しづつ事態が悪化していく様子が読んでいて辛かった。自分自身、コミュニケーション不足による失敗を過去にしているため、この意見の食い違いの様子がデジャヴのように感じられたのだ。いずれにせよ、個人的に興味深い内容だったので、もうちょっと関連書籍などにあたってみたいと思う。2025/03/09
はやしやもり
3
筆者と共に日本中の土葬に関わる当事者のお話を聞いてまわりながら、共に悩み考えさせてくれる本。単純でない問題を、複雑なまま丹念に捉えていくことでしか見えない日本の姿はそんなに悲観すべきものではないのが救いだった。 様々な背景を持つ人が、よりよい未来に向けてみんなで協力していく上で、とても良い学びになる本だと思うし、それらはやはり筆者の愚直とまで言える真摯な姿勢によってもたらされたものだと思う。2025/06/19
Go Extreme
2
対立構図 別府ムスリム協会の墓地建設計画に対し 地元住民が反対 行政は対応に苦慮 反対の背景:単純な宗教嫌悪でなく 地域コミュニティ意識 地下水等環境懸念 行政への不信感 複雑な感情交錯 土葬の現状:法律上禁止ではないが 火葬が99.97% かつての土葬文化は衰退 地域により記憶残存 問題の根源:墓地行政の地方分権化と多文化視点欠如 グローバル化に伴う多様な葬送ニーズへの未対応 課題と展望:排他的言説 ヘイト問題 一方的な断罪の危険性 情報不足 丁寧な対話と相互理解 多文化共生社会実現への問いかけ2025/04/18
2021 GT
2
増補版では土葬を営んでいる仏教系の寺(京都府)と、大分県日出町の町長選挙についての章の追加がある。土葬やムスリムについての理解が得られるまでにまだ課題はありそうだが少しづつ前に進む予兆が感じられる。偏見や固定概念にとらわれないように丁寧に取材する筆者の姿勢には敬意を表したい。2025/04/01